本ブログで次期学習指導要領に関することを度々書いていますが、次期学習指導要領についてさらに理解を深めたい方のために、佐藤明彦著『学習指導要領はどう変わろうとしているのか』(東洋館出版社、2025年)を紹介したいと思います。
本記事を読めば、標題の書籍の構成や主な内容について理解できると思います。
以下、詳しく見ていきます。
著者について
まず、本書の著者について紹介します。
著者の佐藤明彦氏は、1972年生まれの教育ジャーナリストです。大手出版社勤務を経て、フリーとなり、現在、教育分野の専門誌に多数の記事を寄稿する傍ら、書籍も多数出版しています。コロナ禍における、熊本市教育委員会の一人一台端末の導入の過程を取材した『教育委員会が本気出したらスゴかった。』等が有名ではないかと思います。
佐藤氏は、経歴を見る限り、学校現場での勤務経験はないと思われますが、現場の人間が記事や書籍を読んでも違和感を覚えることがないくらい、学校現場の実情を的確に理解されていると思います。きっと、これまでに多くの学校や教員を丹念に取材してこられたのだと思います。
また、その語り口も柔らかく、わかりやすい表現で文章を構成されています。本書を読んで興味を持たれた方はその他の書籍を読んでいただくと良いと思います。
本書の構成
ではここから、本書の構成について紹介します。
本書は副題を「2030年の学習指導要領実施に向けた中教審「論点整理」(令和7年9月)を読み解く!」としており、昨年9月に公表された次期学習指導要領策定に向けた「論点整理」をもとに40のテーマを設けて解説しています。
なお「論点整理」については、本ブログでも書いていますので以下の記事を参考にされてください。
本書は、以下の6部構成になっています。
第Ⅰ部 学習指導要領改訂の基本方向を探る
第Ⅱ部 次期学習指導要領改訂の屋台骨
第Ⅲ部 多様性を包摂する柔軟な教育課程
第Ⅳ部 学びの新たな柱ー「情報活用能力」と「探究」
第Ⅴ部 教育改革を支える条件整備
第Ⅵ部 次期学習指導要領における教員の役割
第Ⅰ部では、次期学習指導要領の基本的な方向性について記しています。最初の章では、次期学習指導要領の核となるテーマについて著者なりの考察をしています。
第Ⅱ部では、「高次の資質・能力」や学習指導要領そのものの構造化・デジタル化等、次期学習指導要領の重要キーワードについて記しています。
第Ⅲ部では、話題の「調整授業時数制度」や不登校の児童生徒等への対応するための教育課程等について記しています。
第Ⅳ部では、情報教育や総合的な学習(探究)の時間の方向性について記しています。
第Ⅴ部では、教科書の取扱いや高校入試の方向性について記しています。
第Ⅵ部では、次期学習指導要領実施までに学校や教員ができることなどについて記しています。
なお、内容に連続性はないため、どの部分から読んでも理解できると思いますが、重複している部分もあるため、全てとおして読んだ方がより理解が深まると思います。
本書の特徴
最後に、本書の特徴について紹介します。
本書は次期学習指導要領の「論点整理」のエッセンスを紹介しています。「論点整理」は113枚ものスライド資料からなるものであり、本書は約240ページありますが、解説も加えながら記述されていますので、論点整理の内容を理解するにはかなり良いものと思います。
また、質問に回答する形式で40のテーマについて解説していますので、目次を見て知りたいと思っているテーマのページを読むとすぐに理解できると思います。
ちなみに、僕自身が本書を読んで最も印象に残ったのは、本書冒頭のプロローグです。
著者は「次期学習指導要領は、日本の学校教育においてこれまで重視されてきたいくつかの基本理念やコンセプトと決別しようとしている」(6頁)としています。
僕自身、次期学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」等の流れは引き継がれることから、現行学習指導要領とそれほど大きく変わらないと思っていますが、長年にわたり、教育行政を追ってこられた著者自身は真逆の感覚を持っています。こう書かれた意図については、ぜひ本書をお読みいただければと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
興味を持たれた方はぜひ本書をお読みください。本ブログの記事と併せて読んでいただくと、次期学習指導要領の方向性について理解が深まるかと思います。
なお、「論点整理」本体は以下のページをご覧ください。アイコンつきでわかりやすく示している資料もあります。



