文科省の諮問に答申してみた その5(部活動の地域移行)

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 シリーズ5回目です。

 

 今回は、前回の続きで部活動について、主に部活動の地域移行について書きます。

 僕は臨時採用の時代から、野球部の指導に携わることが多かったのですが、僕が臨時採用の頃の野球部と言えば、学級や学年のリーダー格の生徒が必ずおり、同時に、やんちゃな生徒もおり、規模が多い学校の場合は、2チームあること(最低18人以上)が多かった時代でした。野球部は学校の「顔」のような存在であり、「野球部の状態がその学校の状態を表している」とも言われていました。

 ところが現在、規模が小さい学校は9人の部員がいないことが当たり前であり、近隣の学校と合同チームにならざるを得ない状況も多く見られます。また、部員も、かつて多く見られたリーダー格ややんちゃな生徒も少なくなり、そのような生徒は他のスポーツをしているか、あるいは部活動に入っていないことも多くあります。

 このような変化が見られるようになったのはいろいろな原因があると言われていますが、それを書いていくと野球衰退論みたいな感じになり、本筋から遠くなっていきますので、ここでやめておきます。

この現状をどうすれば良いかという話をしていきます。

 上に書いたように、合同チームは現在増加の一途をたどっていますが、どこの学校とどこの学校が合同チームを組むかは年度により異なります。これは勿論、その年の新規加入部員数が変動するからです。中には、地域の人口減少により、今後の部員増が見込めない地域もあるため、毎年度同じ学校同士で合同チームが見られる場合もあります。ただ、どちらかというと、年度によってコロコロ変わる場合が多いです。

 これを行政主導で変えていくしかないと思います。部活動をするにあたって必要なのは、指導者と場所と道具です。道具については、現在それぞれの学校で持っているものを当面使えばよいので、人と場所をどうするかです。

 まず、市町村教育委員会が首長部局と連携し、その地域の人口の動態を把握し、今後の人口減少が見込まれる地域においては近隣の学校間の部活動を統合するという道筋を示すべきです。そのうえで、教員を対象に、部活動の指導に携わりたいかどうかの調査をし、携わりたいと考えている教員は可能な限り長くその地域に在籍できるような人事制度に変更することも必要だと思います(これは市町村だけではできないでしょうが)。

 今のところ、部活動を教員から切り離す方向で話が進んでいますが、前の記事にも書いたように、学校現場には部活動指導に携わりたいという教員が一定数います。むしろ、外部の人材の確保する方が難しいと思います。仕事において肝心なことはやりがいだと思います。部活動がしたい人はすればいいし、したくない人はしないでいい制度を作ることが大事だと思います。そして勿論、部活動に従事する人にはそれなりの手当てを支給することが必要になってきます。

 場所については、個人的には、特に地方は潤沢にあるのではと思います。今現在使っている学校もありますし、おおよそ市町村に一つはグラウンドと体育館はあります。それらをローテーションしながら使えば、それなりに活動できると思います。勿論、自分のプライベートを犠牲にして部活動をしたいと考えている教員からすれば、物足りない時間になるかもしれませんが、個人的には中学生期の部活動の活動時間はそこそこでいいと思っています。これまで、そして現在が長すぎです。

 そもそも、活動時間が長くなる原因は大会の多さです。大会があれば勝ちたくなりますし、それに向けて練習もハードになります。僕は前々から考えていましたが、小学生は都道府県大会まで、中学生は地方大会(九州など)までにし、そして、高校生から全国大会を解禁すればいいと思います。とかく、大会が多すぎます。試合をするにしても、リーグ戦を増やしていく方が運営等も簡素化されるのではないかと思います。ただ、大会の削減は多くの人の利権が絡んでいるでしょうから、部活動の地域移行以上に進めるのが難しい気がします。

 今まで当たり前のようにやってきたことを大幅に変えるのはかなりの時間と労力を要しますが、一度にやろうとせず、できるところから少しずつしていくことが大事だと思っています。そのために大事になってくるのが、何度も書いていますが、市町村教育委員会事務局です。たびたび、この言葉ばかり使っていますが、市町村立学校を変えるのは、都道府県教育委員会ではなく、市町村教育委員会に他ならないと思います。市町村の教育長の方々、現場の教員のため、ぜひ熱い思いをもって、部活動の地域移行を進めていただきたいと思います。

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