シリーズ6回目です。
今回も、平成31年3月に出された、いわゆる「3分類」の3つめの項目「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」について、学校現場の実情を踏まえて個人的な意見を書いてみようと思います。
「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」は、以下の6つです。
⑨給食時の対応(栄養教諭等との連携等)
⑩授業準備(サポートスタッフの参画等)
⑪学習評価や成績処理(サポートスタッフの参画等)
⑫学校行事の準備・運営(事務職員等との連携、一部外部委託)
⑬進路指導(事務職員や外部人材との連携・協力等)
⑭支援が必要な児童生徒・家庭への対応(専門スタッフとの連携・協力等)
※( )内は教師以外の担い手の例です
これらについては、教師の本来業務だと思っている又は思われている業務のため、負担軽減はなかなか難しいところがあります。実際、「令和4年度教員勤務実態調査(速報値)」によれば、これらの業務について「削減すべきだが、削減は難しい」との回答が全て5割を超えています。
個人的には、削減が難しいというよりは、これらの業務については、授業にしろ、給食指導にしろ、学校行事にしろ、長年、教師主導で実施してきたため、事務職員や外部人材にお願いしにくいという現状があります。しかも、仮にお願いできたところで、教師がこだわりでやっている部分が多いものもあるため、他人に任せたくないという教師も多数いることと思います。
実際、僕自身も給食指導や体育大会、合唱コンクールの指導等は学級運営上、とても大切だと思っていたため、力を入れてやってきました。ただ、僕自身は、学校現場を数年間離れていたことがあるため、そのこだわりも徐々になくなってきましたが、ずっと学校に勤めていて、しかも、ずっと担任をしている人はそれらを他人に任せるなんてできないと思います。それは、教師としてやって当然のことだと思っていると思います。それらに時間と労力をかけるのは当然だという考えでしょう。
しかしながら、そう言っていては、働き方改革は進みません。固定観念を変えることから働き方改革は始まります。
この中で最も負担軽減が可能な業務は「学校行事の準備・運営」でしょう。コロナ禍において、多くの学校行事が中止又は規模縮小したこの3年間、我々教師は学校行事の負担の重さに気づきました。そして、今年度、多くの学校行事が復活する、あるいはしていると思いますが、コロナ禍の前の状態に戻しては決してなりません。その学校行事は、本当に児童生徒の成長に寄与するものか、寄与するものだとしても、規模縮小してできないかーそういったことをしっかり考えて実施すべきです。学校行事に限ったことではないですが、世の中の多くのことは慣例でやっていることが多くあります。漫画『ドラゴン桜』に「「伝統」と書いて「ゴミ」と読む」というセリフがありましたが(さすがに、ゴミは言い過ぎだと思いますが)、「伝統」というのは、一定の時間が経過すれば見直されるべきものです。
この一連の記事を書いていて思うことは、結局のところ、働き方改革というのは、組織を動かす人間の行動力と、教員本人次第だということです。教員の仕事は、個人の裁量による部分が多く、どこまでやるかの線引きが明確にされていません。そのため、時間を使い、余暇の時間を犠牲にして、とことん突き詰めた人が一定の評価をされる傾向があり、また、そういったモデルケースがあるため、ハードルが高くなる部分があります。
だから、「どうしても必要と思うこと」以外、しなければ良いのです。その線引きは、物の管理に似ている気がします。「仕事が終わらないとか、多すぎる」とか愚痴を言う人に限って、職員室の机は散乱しています。要ることと要らないことの分別を考えながら業務にあたることで、すいぶんと楽になると思います。そして、「こだわり」を見直すことで楽になると思います。
「3分類」に関することだけで多くのことを書きました。8月の「緊急提言」で特別部会が「それぞれの主体が主体的に取り組む必要がある」と述べていますので、国がどうこうとか、県がどうこうとか言わずに、今日からでも自分でできることはすべきです。
次回以降の内容はまた検討します。