少し前に、滋賀県東近江市の小椋市長が「不登校になるのは親の責任が大半だ」という旨の発言をして、大きな批判を浴びました。
いくつかの記事を読むと、市長の発言の趣旨は、「フリースクールの制度設計をしないまま、自治体に支援を求める文科省に文句を言いたかった」だけみたいですが、一部の発言だけが切り取られ、全国に一斉に広まっていったようです。
毎回思うのですが、責任のある立場にある人の発言は、マスコミに一部だけが切り取られますよね。会見等を全て聞くと、必ずしもそういうことを言っていないことはわかることが多いのですが、ほとんどの人が、発言の意図や真意などを探ろうとせず、マスコミの一部報道に過剰に反応します。今回も、この発言に対して、全国から多くの苦情が寄せられたようです。マスコミって怖いですよね。
さて、市長は発言の後日に釈明したみたいですが、僕自身は本ブログで述べているように、不登校は家庭環境に原因があると思っています。「親の責任」という言葉は、とても強い言葉に聞こえますし、僕は親が悪いとも思っていないので「原因がある」という書き方をします。意味はほぼ同じなんですけどね。
僕がこのように思う根拠は、僕が今まで関わってきた不登校生は何かしらの家庭の問題を感じたからです。以下、僕の経験から感じる不登校生の家庭の特徴です。
①離婚し、片親で育てている。
②離婚していないが、夫婦の関係が良くない。
③父または母(たいていは「父」)が仕事一筋で、子供に関わっていない。
④両親が、自分たちが楽しむことしか考えておらず、子供に対して関心が薄い。
⑤他のきょうだいに対しての関心が高い。
この中で、①~③のパターンの母親は精神的に辛いと思います。①は、本当は子供にもっと関わりたいと思っているのに、生活費等を稼ぐために仕事に追われ、十分に関われず、不登校になった子供を自分の責任のように感じてしまうからです。また、②は夫が子供に無関心であったり、性格等の不一致から、事実上の離婚状態になっている場合があります。③は、子育ては母親の役割だと父親が思っており、妻に多大な負担をかけているのに気づいていないパターンです。
④は完全に親失格です。信じられないかもしれませんが、このような親も存在します。
意外と原因を気づかれにくいのが⑤です。夫婦仲も円満であるため、表面上はわかりづらいのですが、当該生徒と話をしていると気づきます。
こういった特徴があるのですが、世間一般的に不登校の原因は、圧倒的に学校生活に起因すると思われています。確かに、学校生活が最初のきっかけになることがあります。友人とのトラブルがあったり、いじめに遭ったり、先生との関係が良くなかったりと。しかし、そういうときでも、親が子供の変化に気づき、子供の話をしっかり聞いたうえで、「あなたのことは大切な存在だから、何があっても守る」ということを伝えることができれば、子供は大きな安心感に包まれ、不登校になることはありません。
子供は小学校高学年から徐々に親離れしていきますが、それでも子供は、他の誰でもなく、自分の親に愛されたい、構ってほしいと思っているのです。子供は、大人が思っている以上に、親の発言や行動を見ており、自分が親にとってどんな存在であるかを確認しています。それが少ないと感じてしまった子供は不登校または非行に走ると僕は思っています。
勘違いしないでいただきたいのは、このような家庭を責めているわけではないということです。人間、いろいろなタイプがいます。子供のときは、大人ってしっかりしているなと思っていましたが、自分が大人になってみると、自分自身も含め、大人も欠点が多いなと感じます。
ですので、このような家庭が存在するのは「当然」または「仕方ない」と思うしかないのです。そして、子供の不登校について悩み、支援を必要としている人がいれば(特に、①~③のパターンの母親が該当すると思います)には、心のケア等を施すしかないのです。
でも、残念ながら、心のケア等を施しても不登校が改善することはないと思います。一度失った子供からの信頼を取り戻すのは容易ではないからです。それを受け入れ、次のステージで子供が少しでも変わることができる方法を考えるしかないと思います。
僕自身は、フリースクールはどんどん作るべきだと思っています。以前から書いているように、就学義務制度を変更して、学校以外の学びを場を作ることで、学校が抱える多くの問題を解決できると思うからです。
とにかく、学校制度は現代の社会情勢にマッチしておらず、限界を迎えています。まるで、昭和の時代にタイムスリップしたかのような場所です。子供たちの、我々教員のウェルビーイング実現のために、大胆な改革が待たれます。