2月14日(水)に開催された「質の高い教師確保部会(第9回)」で給特法について議論がなされたようです。給特法について議論がなされること自体が、とても喜ばしいことでもありますが、肝心なのは中身です。「議事録」がまだ公表されていませんので議論の詳細は不明ですが、今回は給特法について書きたいと思います。
そもそも、「給特法」とは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称で(長いですね💦)、昭和46年(1971年)に最初に成立した法律であり、以後、数回改正されています。
本法では第1条で「公立の義務教育諸学校等の教育職員の職務と勤務態様の特殊性に基づき」としており、教員の働き方の特殊性を前提としています。
その上で第3条で「教育職員には、その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として(中略)教職調整額を支給しなければならない」としています。
つまり、基本給の4%を「調整額」として支給するとしています。一見、基本給に上乗せされていますので、とても良い制度に見えますが、上乗せの根拠が実態と全く合っていないとのことで、昨今、本法の改正が求められています。
そもそも、本法律が制定されたのは、上にも書いたように、50年以上も前であり、50年も前と現在では、教員の働き方はずいぶん異なっています(僕自身、50年も教員をしていませんので、詳細はわかりかねますが、おそらく違うはずです。〇〇教育がかなり増えたと思います)。
また、本法律は昭和41年(1966年)に実施された勤務状況調査の結果をもとにしており、その際の中学校教員の1週間あたりの超過勤務時間は、平均で2時間30分だったとのことです。
一方、今年度公表された「教員勤務実態調査(令和4年度)」をもとに、名古屋大学大学院の内田教授が算出したデータによると、中学校教員の月あたりの時間外勤務(持ち帰り業務及び土日等も含む)は、100時間56分となっています(教員の勤務実態 「持ち帰り業務」の日々 平均値で過労死ライン超え(内田良) – エキスパート – Yahoo!ニュース)。
昭和41年のデータを月あたりにしても10時間程度ですので、現在は50年前で比べ、概算で10倍働いていることになります。この状況は明らかに異常であると思いますし、法律の内容が実態に伴っていないと思います。
そこで以前の記事でも紹介したように、昨年(2023年)5月に、自民党の「令和の教育人材特命委員会」が教職調整額を10%に引き上げるとの方向性を打ち出し、「骨太の方針」に反映させるとしました。
ただ、閣議決定された実際の「骨太の方針」は「10%」という具体的な数値を挙げず、「教職調整額の水準や新たな手当の創設を含めた各種手当の見直しなど、職務の負荷に応じたメリハリある給与体系の改善を行うなど、給特法等の法制的な枠組みを含め、具体的な制度設計の検討を進め、教師の処遇を抜本的に見直す」としており、同時に、教員の処遇改善に係る一連の施策を「2024年度から3年間を集中改革期間」とするとのことです(「骨太の方針p42。2023_basicpolicies_ja.pdf (cao.go.jp))。
具体的な数値を表記しなかった意図については不明ですが、おそらく、中教審での議論をもとに具体的な数値を決めていくのではないかと思います。とは言え、予算的制約もあるでしょうから、10%を超える数値を出すのは難しいかと思います。
このトピックについては、「議事録」が公表されたら、また書きたいと思います。
ちなみに、文科省のサイトは以下のとおりです。