教員の業務量が減らない理由(校外編その1)

業務効率

 前回、同タイトルの「校内編」を書きましたが、今回は「校外編その1」を書きます。「校外編」とはつまり、学校の内部だけではどうにもならない、国や県、その他外部機関が主導することと関連があるものです。結論から言えば、「〇〇教育」が多いことです。以下、詳しく書きます。

〇〇教育が増える理由

 学校は児童生徒に基本的な学力をつけることが大きな使命ですが、子供たちが社会で生きていく上で、また、教養として、さまざまな力を身に付けさせる場になっています。つまり、教科教育以外の〇〇教育が多いのです。学校は子供が集まっている都合の良い場であるため、世間で何か事件が起こるたびに「学校で教育しろ!」という風潮になるのです

 一例を挙げれば、

  いじめによる自殺が起きた → 道徳の教科を! 人権教育の充実を!

  自転車による事故が増えた → 交通安全教育を!

  ネットトラブルが増えた → 情報モラル教育を!

  大規模自然災害が起きた → 防災教育を!

 などがあります。これらは一例であり、学校の業務割り当てを示した「校務分掌表」にはこれらの〇〇教育の名称とその担当者が明記されています。おそらく、これらの〇〇教育は過去に比べ、かなり増えてきていると思います。

〇〇教育のおかしな点

 勿論、こうした教育が重要であることは言うまでもありません。しかし、おかしなことは、①教員が担当しなければならないこと、②業務が増えた分の人が配置される訳ではないことです。

 僕がかつて、行政職をしていたとき、正直、教員よりも働きやすいと感じていました(教員で行政職を経験する人は、その多くが学校現場の方が好きらしいですが💦)。その理由の一つに、「業務量によって、人の配置が調整される」ということがあります。つまり、「この部署は、大きな案件を抱えているから、今年度忙しそうだな」と判断された部署は人的配置が増え、逆にそうでもないと思われた部署は減らされます。このような人的配置は年度当初に行われますが、年度途中でもできるのが行政機関の優れたところだと思いました。

 一方、学校は〇〇教育が増え、業務が増えても、教員の数が増えません(加配がつくことはあるものの微々たるもの)。先に書いたように、学校内部の誰かがこの業務を担わなければならず、まず、担当教員がその分野の勉強をし、それを学校全体又は学年全体に教え、教えられた教員はそれを児童生徒に教えなければなりません。興味のある分野ならともかく、興味がない分野を生徒に教えるときなんて、全く効果がないように感じます。なぜなら、自分自身の理解が浅いからです。授業に限らず、人の話というのは、思いを強く持っているほど心に響きます。今ではそうでもないですが、若い頃に性教育の授業をすることは本当に嫌でした。保健体育でも扱う内容なのに、どうして道徳や学活でしなければならないのかと思っていました。

 ②については、世間ではあまり知られていませんが、学校のおかしな部分であると思います。学校は業務量が増え続ける「ビルド&ビルド」の風潮になっており、しかも、前回書いたように多くの教員が前例踏襲してしまうため、業務のスクラップができないのです

 ずいぶん前の話になりますが、「総合的な学習の時間」が新設されたとき、ある教育関係者がテレビの討論番組で「こういった新たなことをするときは、人と予算をあててほしい」と発言されましたが、僕は本当にそのとおりだなと思いました。しかし、こういった措置がなされず、教員がいちから勉強して、児童生徒に教え、場合によっては評価もしなければならないのが現状です。

〇〇教育をしない方法

 〇〇教育は、教員を苦しめる根源となっていますが、近年はその在り方も変わってきたように感じています。それは、やり方が変わってきているからです。つまり、教員自らがするのではなく、外部委託することが増えてきているということがあります。これが、〇〇教育をしない方法です。

 僕はこれが当然だと思います。教員は教科教育を中心に、専門的な業務に従事するのが基本だと思います。ただ、外部委託するといっても、外部講師との日程調整等も骨の折れる仕事ですので、こういったことに関しては、専門の事務職員を市町村教育委員会が雇う必要があると思います。つまり、〇〇教育をコーディネートする事務職員が配置されるべきだと思います

 僕自身の話をすると、僕が勤める学校で、生徒会役員選挙の前に生徒会担当教員から主権者教育をしてほしいという話がありました。全校生徒の前で主権者について話すことはそれなりの準備をする必要な判断したため、県の選挙管理委員会が実施している出前授業を利用することにしました

 申請書の記入等、多少の時間は要しますが、自分が話をするよりは少ない時間で済みます。こういった判断が必要だと思います。学校には、毎日多くの文書が届き、目を通すのも大変だと思いますが、中には「〇〇に関する講演・講話を無料でします!」というのも結構あります。自分の業務に関係あると思ったものは、コピーをとり、保管しておくと、業務負担軽減につながる可能性があります。

 〇〇教育で苦しんでいる皆さん、積極的に外部委託してみませんか?

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