前回、同タイトルの「校外編その1」を書きましたが、今回は「校外編その2」を書きます。
前回書いた「〇〇教育の多さ」も今回書く内容と密接に関係がありますが、結論から言えば、「縦割り行政」が多いことです。過去、僕自身が行政機関に勤めていた経験を踏まえ、以下、詳しく書きます。
縦割り行政とは
少し前に、著名な政治家が「『縦割り行政』をなくす!」みたいなことを言っていましたが、僕自身、縦割り行政はそう簡単になくならないと思っています。何故なら、これをなくすためには、通常の業務遂行時間に加え、それなりの時間を必要とするからです。その労力をかけたいという人はおそらくほとんどいないはずです💦
では、「縦割り行政」とは何かというと、行政機関の各部署が下部組織に対し、業務等をそれぞれ下ろし、下部組織で業務量が増えたり、業務内容が重複したりすることです。
学校で言えば、文科省や教育委員会事務局の各課が各学校にそれぞれ業務を下ろし、学校現場で業務量が増えたり、重複が見られたりすることです。例えば、教育委員会事務局からの調査等に対応する中で、似たような調査の回答をしたことはないでしょうか? それが縦割り行政の一例です。
縦割り行政が生まれる理由
では、なぜ「縦割り行政」が生まれてしまうのか、その原因は2つあると僕なりに考えています。
そもそも、学校教育に関連する行政機関(文科省や教育委員会事務局)には、「学力向上に関する部署」、「学校安全に関する部署」、「健康・体育に関する部署」、「特別支援教育に関する部署」、「社会教育に関する部署」など複数の部署が存在します(自治体にもよって異なると思いますが)。
僕自身、行政機関で勤める前は「教育委員会」というものは1枚岩だと思っていたのですが、実際に勤めてみると、基本的にそれぞれの部署がそれぞれの動きをしていることがわかりました。このように、横の連携がとれていないことが縦割り行政が生まれる1つ目の理由です。
例えば、ある部署で学校に対して調査をしようと思ったとき、その部署内で決裁をとり、学校に下ろすことになります。よほど大きな事案や業務内容であれば、他部署と連携がとられたり、調整がされたりしますが、日常的にはほとんどありません。このように教育委員会事務局→学校と縦の動きをすることが多いため、縦割り行政が生まれてしまうのです。
学校現場で、「この調査、前にもどこかで見たよな」とか、「教育委員会内ですり合わせしてから、学校に下ろしてほしいな」と思っても、そもそも、教育委員会事務局内では、他の部署の業務内容の全てを知りませんので、重複していることに気づきません。気づくのは、仲介する市町村教育委員会等か、学校現場になります。
先に、「縦割り行政をなくすには、それなりの時間を必要とする」と書きましたが、縦割り行政をなくすためには、このような横の連携や調整をする時間がプラスでかかってくるのです。これは業務としてあまり楽しいものでもなく、むしろ、面倒だと思う人が多いので、縦割り行政はなくならないと思います。
2つ目は、行政機関の根本的な働き方にあると思っています。どういうことかというと、行政機関が何か業務をするには、予算が必要です。この予算というものを毎年度、財政担当部署に要求と交渉をし、これが通れば、晴れて事業化できます。
例えば、行政機関に勤務する人が新しいことにチャレンジしようと思って、新規事業を企画し、そのための必要な予算を要求し、事業化されれば、学校現場で新しい業務が増えることになります。これは、〇〇教育の類が多いかと思います。そして、このような動きが他の部署においても同時にされていれば、また、先にも書いたように、横の連携がなされていなければ、学校現場の業務量は増えることになります。つまり、行政機関に勤める人が頑張ろうとするほど、学校現場の業務は増えるのです。
自分も縦割り行政をしている?
こういう動きをしている行政機関を批判したくもなりますが、実は我々教員も生徒に対して、「縦割り行政」をしてしまうことがあります。
以前、僕の授業の後に生徒が以下のような質問をしてきました。
生徒:先生、縦割り行政って何ですか?
私:そうだね、わかりやすく言うと、今日はいろいろな教科からの宿題が多いなっていう日がない?
生徒:ありますし、全くない日もあります。
私:それが縦割り行政だよ。つまり、一人の先生と生徒という縦の関係で何かを指示し、先生同士の連携がとれていないこと。言い換えると、行政機関の様々な課が、他の課と連携をとらずにそれぞれ仕事をおろすこと。
生徒:なるほど。ありがとうございました。
中学校や高校に勤める方は、このように、他の教科の先生と連携をとらずに生徒に課題等を課した経験はないでしょうか?
また、自分の担当校務分掌に関する学校行事等の日程を決める際、自分と関係する職員だけで決め、教務主任等に報告することはないでしょうか? その結果、同じ週、ひどいときは同じ日に行事が重なったりし、教員と生徒はバタバタします。教務主任等が調整してくれれば良いのですが、担当の提案どおりに日程を組んでしまうと大変です。
以上、3回に分けて「教員の業務量が減らない理由」を書きましたが、今回の縦割り行政はなくすことが非常に難しいため、まずは、自分の仕事の仕方の見直しをすること、そして、〇〇教育は外部委託することなどを進めてみてください。