今回は、ブックレビューをします。
タイトルが強烈ですね。また、帯にも「いまの学校はオワコンです」とあります。教育関係者なら、タイトルと帯を見ただけで、興味がわきますよね。
内容は、タイトルや帯ほど過激ではなく、わりと冷静な語り口です。著者の日野田氏は、幼少期をタイで過ごし、帰国後、日本の公立中学に在籍するも、集団の雰囲気に馴染めず、私立の中学に転学します。その後、高校、大学と卒業し、進学塾の講師などを務め、36歳のときに大阪府立箕面高校に民間人校長として就任し(当時最年少)、「地域4番手の普通の学校」から多くの海外大学進学者を出すなどして注目を集めた方です。2019年に上梓された『なぜ、「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか!?』が大変刺激的でしたので、本書も手に取りました。
日野田氏の基本的な考え方は僕自身、賛同する部分が多くあります。第1章で述べられている、明治以降変わらない現在の日本の学校教育システムに対する批判(これは日野田氏に限らず、多くの識者が述べていますが)、第4章で述べられている、これからの時代を担う人たちへのメッセージなど、うんうんと頷きながら読み進めることができました。
今現在、僕自身も40人の中学生を相手に授業をしており、生徒たちの身近な目標は志望校合格ですが、仕事をしながら、「もっと少ない人数なら、生徒の学びも深まるのにな」とか、「高校に合格することが人生の価値ではないのにな」と思ったりします。でも、我々教員もそうですし、保護者の世代も、40人の一斉授業や受験という競争を体験してきた世代です。これまで当たり前のように慣れ親しんできた方法を変えるというのは、容易ではない気がします。しかし、社会は目まぐるしいスピードで変化しており、それに対して、学校というのは本当に昔から変わりません。将来の日本はこれで大丈夫なんでしょうかと日々思っています。
本書の中で特に、はっとさせられたのが168ページの日本と海外のキャリアの考え方の違いです。僕もよく生徒たちに「まず、将来なりたい職業を考えて、進学する高校を選びなさい」と言っていますが、このような助言は生徒の将来の選択肢を狭めることになっていると気づかされました。僕自身もそうだったように、人間、多くの経験をする中で新たな自分を発見することがありますよね。失敗をさせながら、いろいろな経験をさせて、進路選択の幅を増やしていくことが豊かな人生を送ることにつながることになるんだなと思った次第です。
とても読みやすい本ですので、現在の学校教育に疑問を持っている方にはオススメの1冊です。