学校にゆとりの時間を生み出す工夫

勤務時間

 全国の先生方、夏休みに心身の休養はできたでしょうか? まもなく、全国の多くの学校で夏休みが終わることと思います。

 夏休みが終わると、再びバタバタと過ごす日が始まる方も多いかと思いますが、今回は学校にゆとりの時間を生み出す工夫について書きたいと思います。

 結論から言えば、授業時数を削減することです。ただ、これについては一人ではできないことですので、それぞれの立場にもよると思いますが、だんだん味方を増やしていき、学校全体の動きとしてほしいと思います。

 以下、授業時数の削減について、茨城県守谷市の事例をもとに、文科省の最新の見解も交えて書きます本記事を読めば、茨城県守谷市の取組みの内容と授業時数に関する国の見解がわかると思います。

茨城県守谷市について

 茨城県守谷市は、茨城県の南西部に位置し、利根川を挟んで千葉県柏市などと接しています。人口は69,827人(令和6年7月1日時点)で、小学校は9校、中学校は4校あります。以前の記事で書いた、自治体が進める学校の働き方改革を実感しやすい規模にあたると思います。

茨城県守谷市の取組みとは?

 茨城県守谷市の取組みについては、文科省の「質の高い教師の確保部会」の第14回(7月26日開催)の配付資料「質の高い教師の確保のための環境整備に関する参考資料」の172ページにあります。

 それによると、守谷市は週3日以上、5時間授業の日を設け、放課後の業務時間を確保したということです。つまり、週あたりの授業時数を最大27コマとしたということです。これにより、放課後の時間に授業準備等にあてられる時間が週あたりで2時間以上増え、早期退勤につながっているということです。

 授業時数を減らすと、教科書の内容を全て教えることができるのか不安を持たれる方もいると思いますが、守谷市は、夏季休業の短縮、二期制導入、始業日・終業日等での授業実施等により、授業日数を確保したとしています。

授業時数に関する文科省の見解は?

 ところで、授業時数を減らすと言うと、先にも少し書いたように、学習指導要領が定めている標準授業時数を確保できないという声が上がることが多いですが、これについて上述の部会の答申(案)に以下のような記載があります。

 国が定める年間の標準授業時数の 1,015 単位時間を 35 週にわたって実施することを前提に、週当たり 29 単位時間の授業を行う必要があるとの認識が学校には根強く、標準授業時数を大幅に上回った教育課程編成の見直しを学校が実施することが困難との指摘もある。しかし、実際には年間の授業日数は 200 日程度(40 週)が一般的であり、必ずしも 1,015 単位時間を確保するために週 29単位時間の授業を実施する必要はない

 つまり、「1週間のうち5時間授業は1日のみで、あとの日は6時間授業」というのはしなくて良いですよ、と言っています。しかし、学校にもよると思いますが、週あたり29コマの学校の方が多いのではないでしょうか。僕がこれまで勤めた学校も29コマの学校が多かったです。

 確かに以前は、この「標準授業時数」は必ず確保しなければならないという雰囲気がありましたが、コロナ禍を経て大きく変わってきたように思います。標準授業時数は、あくまで「標準」なのです。「最低授業時数」ではないのです。文科省も、標準授業時数というのは、「学習指導要領で示している各教科等の内容を指導するのに要する時数を基礎」としているとのことですので、あくまでも目安のようなものなのです。

 また、答申(案)には以下のような記述もあります。

 標準授業時数を大幅に上回って(年間 1,086 単位時間以上 )いる教育課程を編成している学校は、まずは、自ら見直すことを前提に点検を行い、指導体制や教育課程の編成の工夫・改善等により、指導体制に見合った計画とする必要がある。

 本ブログでこれまでも書いてきたように、教育課程編成権は学校長にあります。授業時数が多すぎる学校は、速やかに点検を行う必要があると思います。

授業内容の精選をしましょう

 授業時数を減らすと、上にも書いたように、教える内容も減らす必要が出てきます。長年、教職をされている先生方ほど、それは大変だと思うかもしれませんが、ご存知のように、授業の在り方も学力観も近年変化してきています。これまでこだわって教えていたけど、学習指導要領が求める内容ではないというものがあれば思い切って削減したり、この単元はこれだけの時間が必要だと思っているけど、ICTを利用したらもっと効率的にできないかなということを考えたりすると良いと思います。

 ちなみに、今回の記事とは違う話ですが、いろいろな記事等を読んでいると、次期学習指導要領は、現行学習指導要領より、内容が精選されると思います。現行学習指導要領から、内容(コンテンツ)重視から資質・能力(コンピテンシー)重視にシフトしていますが、この流れが加速すると思います。それを待てば良いのかもしれませんが、現段階では不確実なものですし、これも本ブログで何度も書いているように、自分の仕事の仕方を見直すことはとても大切なことです。

まとめ

 いかがだったでしょうか。学校にゆとりの時間を生み出す工夫は、「授業時数を削減すること」です。週1〜2時間削減しても、子供たちの学力が大きく下がる訳ではありませんし、自分の仕事の仕方の見直しにもつながりますので、賛同する方は校内で影響力のある方を巻き込んで実現に導いてみてください。

 参考までに、文科省の資料のページのリンクを貼っておきます。

 

                                             

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