合唱コンクール必勝法!

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 まだまだ暑いですが、少しずつ秋の気配を感じるこの頃です。秋になると、多くの学校で様々な学校行事が行われるのではないでしょうか。

 今年度はおそらく、全国の多くの学校でコロナ禍を経て、従来どおりの学校に戻りつつあると思いますが、コロナ禍で中止又は規模縮小した学校行事に関しては見直しをされたでしょうか。特に、教員の負担感が大きかった行事については、その行事の目的をもう一度確認し、方法などを見直すことが必要です。

 とは言え、学校行事等をとおして子供の成長を実感するのも教員のウェルビーイングの一つですので、今回は全国の多くの中学校で行われている合唱コンクールについて書きたいと思います。本記事を読めば、合唱コンクールで勝つことができる方法を知ることができると思います。

 結論を先に言えば、①教師が曲を聴き込む、②パート練習を徹底的にする、③全体練習は教師が助言するです。以下、詳しく見ていきます。

大前提として

 合唱コンクールで勝つためには、

 ①担任も歌うことや音楽が好きであること

 ②生徒それなりにやる気になっていること

  (歌うことに強い抵抗がないこと)

 が大前提として必要です。

  おっと、その前の前提を忘れていました。合唱コンクールの練習はもちろん音楽の時間を中心にしますが、音楽の時間のみの練習、音楽の教師のみの指導ではそこまで上達しません

 理由は、音楽の授業というのは週1コマ程度であり、音楽の教師は複数の学級の指導をするからです。合唱コンクールで勝とうと思うなら、担任が積極的に練習に関わる必要があります

 ただ、やる気のない生徒をどうやる気にさせるかはとても難しいことですし、僕自身にその指導力はありませんので、その指導法は、それができる方に譲ります。かつて僕も若い頃、やる気のない学級を力で指導しましたが、全くダメでした。本当に指導が上手な先生はどんな学級であっても、良い合唱ができる集団をつくり上げますが、僕の場合、それはできませんので、本記事は「子どもたちは頑張ろうとしているんだけど、どうやって力を伸ばしたらいいかわからない…」という思いを持っている先生方の参考になれば幸いです

方法①教師が曲を聴き込む

 合唱コンクールで歌うのはもちろん生徒ですが、方法②や③につなげるためには、まず担任が曲を聴き込む必要があります。

 僕は学級の合唱曲が決まったら、その曲の全てのパートと合唱バージョンの音源を音楽の先生にもらい、合唱コンクール当日まで通勤や退勤の時間にひたすら聴き続けました。こうすることにより、全てのパートの音程などを覚えることができ、生徒にアドバイスをすることができます。

 ただ、これは正直、音楽が好きな人間ですら、なかなかきついことです。合唱コンクールが終わった日の帰り道に「あぁ、もう今日からこの曲を聞かなくていいんだ…」と解放的な気持ちになることもしばしばありました。その分、結果が伴えばそのきつさを感じないこともありますが、毎日同じ曲を聴き続けるはなかなかしんどいものです。

方法②パート練習を徹底的にする

 これは主に音楽の時間に音楽の先生がしてくれるものですが、パート練習はとても大事です。パートごとの音がはっきりしていないと美しい合唱にはなりません。特に初期は音源を大音量で流しながら、生徒に音を覚えさせることが大事です

 もちろん、学級の中には歌うことがあまり得意でない生徒もいると思いますので、そういう生徒は上手に歌える生徒の近くにするなどの工夫をすることが必要です。近くから正しい音が大きく聞こえてくれば、安心して歌うことができます。

 この段階でパートごとの音を覚えていれば、生徒と一緒に歌うことをオススメします。そのような姿を見せると、「先生は合唱コンクールに一生懸命になっている」と生徒も思うことでしょう。

 このパート練習をとおして、合唱したときに他のパートにつられないよう、自信をもって歌えるようになるまで歌い込ませることが大事です。

方法③全体練習は教師が助言する

 各パートごとの音を覚えたら、あとはひたすら合唱練習を繰り返すのですが、これが最も大事です。合唱練習は、教師(または指揮者か伴奏者)が助言しないと上達しません。指揮・伴奏の生徒が音楽的センスが高く、他の生徒に堂々と助言できるのなら教師の役割は要らないのですが、そうでない場合、教師の働きが重要になります。

 なぜ、教師の働きが重要であるかというと、歌っている生徒は自分たちの歌がどのように聞こえているかわからないからです。合唱に対する思いが強い生徒ほど一生懸命歌おうとします。しかし、だ一生懸命歌っても、合唱は美しいものにはなりません。美しいものにするためには、聞いている人間の助言が必要なのです。

 ちなみに、合唱の美しさは声の大きさではありません。よく、体育の先生なんかが大きな声で歌わせますが、ただ声が大きいだけでは合唱の評価は高いものにはなりません。声の大小などを調整することがとても大切です。

 ここで、方法①が活きてきます。この段階までに何十回も(あるいはそれ以上)、曲の合唱バージョンを聴いていれば、その曲をどのように歌えば美しく聴こえるか、耳で覚えているはずです。

 具体的には、強弱やハーモニーなどです。そして、それは楽譜と一致するはずです。繰り返し曲を聴いていれば、楽譜を見なくても、その曲のポイントを掴むことができるのです(でも、確認のため、楽譜を見ることをオススメします💦)。

 そういったことを生徒に伝え、繰り返し練習させるのが大切です。言葉で伝えるだけではダメです。生徒が歌っているときに、身振り手振りで「だんだん大きく」、「だんだん小さく」、「強く」、「弱く」などを対象パートの方を見ながら伝えるのです。指示を声に出す人もいますが、生徒が歌っているときに声を出しても聞こえないことがあるため、ジェスチャーがオススメだと思います。生徒からもわかりやすいという声をよく聞いていました。

 最後は、僕自身がいつも大切にしていることですが、「曲のクライマックス部分を丁寧に歌わせる」ことです。

 合唱バージョンを何度も聴いている中で、「この部分がこの曲の中で最も感動するな」と思う部分があります。それは概ね、曲の終盤であり、同時に全てのパートがそれぞれの音程で歌う部分です。その部分を丁寧に歌うよう、生徒に伝え、繰り返し練習をします。

 なぜなら、自分が聴いて感動する部分は、おそらく他の人も感動する部分だからです。一本の映画の中に、多くの人が心を動かされる感動のシーンがあるように、一曲の音楽にも感動のシーンがあります。その感動のシーンを丁寧に歌うことにより、聴いている人(審査員)の心を動かし、賞を取りにいくのです。人間の情に働きかける手段だと思いますが、この助言は僕の経験上、有効だと感じています。

まとめ

 以上になります。方法③が最も重要なため、長くなりましたが、学級全体で練習を重ねると、一体感が生まれ、学級経営もしやすくなります。そして、結果が伴うと更に良いですが、そううまくいくことばかりでもありません。大切なことは、先生方が子どもたちの思いを汲み取り、それに応えるために頑張っている姿を見せることだと思います。たとえ、結果がついてこなくても、そのような先生の思いや姿を子どもたちはわかってくれます。

 10月から11月にかけて、合唱コンクールが行われる学校が多いかと思います。本記事が合唱コンクールに熱心に取り組む先生方の一助になれば幸いです。

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