熊本市の部活動改革の本音

部活動

 以前、熊本市の部活動改革についての記事を書きましたが、その続編です。

 熊本市は国の方向性とは異なり、中学校の部活動を継続させることを今年(令和6年)3月に決めましたが、その後、関係者(教員、保護者、生徒など)にアンケートをとったようです。

 8月末に開催された熊本市総合教育会議にてそのアンケート結果が周知され、先日、資料が公表されましたので、今回はこれについて書きたいと思います。

 本記事を読めば、熊本市が部活動を継続させることについての教員、生徒、保護者などの本音がわかると思います。

 結論を先に言えば、教員は部活動継続に対して賛成が少なく、保護者及び生徒は多くなっています。以下、詳しく見ていきます。

継続させることについては?

 まず、中学校の部活動を継続させること自体について、中学校の教員は以下のように思っています。

賛成…44.1%

どちらとも言えない…22.9%

反対…27.9%

 賛成が半数を上回っていませんので、どちらかというと否定的です。賛成しない方は当然、部活動指導を希望しないことになりますので、人材が確保できるのか微妙なところです。ただ、中学校教員の回答率は66.1%だったため、部活動指導を教員の業務として当たり前に思っている教員は回答すらしていないかもしれません。このような類のアンケートは反対する人が回答することが多いですよね。

 一方、保護者は83.7%、生徒は78.5%が賛成との結果が出ています。保護者や生徒は現状の体制を継続させることを望んでいることがわかります。ただ、保護者の回答率は29.1%とかなり低いですので、より多くの人が回答したらもう少し、反対が増えるかもしれません。

希望する教員のみ指導することについては?

 次に、部活動指導を希望する者のみとすることについて、中学校の教員は以下のように思っています。

賛成…75.2%

どちらとも言えない…11.9%

反対…6.7%

 これは反対する人が少ないようです。妥当な結果ですよね。ただ、実際にこのような体制が始まった場合、校内の教員の中で部活動指導をしている教員とそうでない教員の温度差が生まれることも懸念されます。良い具合に業務分担できるといいのですが、部活動指導が上手な先生はその他の仕事のスキルが高いことも多いです。業務量に偏りが出てくる可能性があります。

 一方、保護者は76.5%、生徒は57.1%が賛成です。保護者は理解がある一方で生徒の賛成は少ないです。全ての先生に部活動に関わってほしいと思っているのか、あるいは、知らない大人の指導を受けることに不安を感じているのかわかりませんが、生徒は賛成が少ない傾向にあります。

 ただ、別に「指導者として教えてほしい人はどのような人ですか?」という問いがあり、それについては、中学生は「学校の先生」が33.1%、「どなたでもよい」が56.4%となっています。これを見ると、学校の先生に指導してほしいという生徒はそこまで多くないことがわかります。

対価を支払うことについては?

 次に、適正な対価を支払うことについて、中学校の教員は以下のように思っています。

賛成…85.4%

どちらとも言えない…8.5%

反対…2.4%

 かなり高い賛成の割合ですよね。今でも、部活動手当は支払われていますが、時給に換算すると最低賃金を下回っているため、当然の結果でしょう。

 また、保護者も79.1%が賛成と多くの方が理解を示しています。これは意外な結果ですが、保護者がこれだけ理解してくれているとありがたいです。

「チャレンジクラブ(仮称)」については?

 最後に、「気軽に参加でき、大会出場などを目標としない、自分たちで自主的に活動する「チャレンジクラブ(仮称)」」の創設について、中学校の教員は以下のように思っています。

賛成…26.2%

どちらとも言えない…26.1%

反対…41.9%

 これは当然ながら反対が多いですよね。「自主的に活動」となっていますが、結局、教員がその活動を見守る必要がありますので、時間を奪われることになります。部活動は専門でない場合、ただ見守るだけということもありますので、チャレンジクラブの担当となった場合、教員の負担はこれまでの部活動とあまり変わりません。

 また、保護者は61.5%が賛成、生徒は57.6%と微妙な数です。まだ具体的な活動がイメージできない部分もあると思います。

まとめ

 いかがだったでしょうか。回答率が十分でない部分もありますが、おおむね関係者の声を拾っているのはないかと思います。答申が出たあとですので、熊本市の方針が大きく変わることはないでしょうが、「チャレンジクラブ(仮称)」の在り方は議論が必要なのではないかと思います。

 以下、リンク先を貼りますので、興味のある方は覗いてみてください。

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