先日、茨城県守谷市の学校改革に関する記事を書きましたが、「東洋経済education×ICT」に詳細な内容について掲載がありましたので、今回はこの記事を引用しつつ、茨城県守谷市の部活動改革に関することを書きたいと思います。
本記事を読めば、教員にゆとりの時間を生み出した守谷市の部活動改革の内容がわかると思います。
結論を先に言えば、部活動にシーズン制を導入し、メリハリのある活動にしたとのことです。
以下、詳しく見ていきます。
教育課程の工夫
まず、前提として、以前の記事でも紹介した教育課程の工夫について簡単に紹介しておきたいと思います。
守谷市では、「すべての市立小・中学校の小4から中3において、月・水・金曜日の週3日は5時間授業に変更した」ということです。つまり、週27コマの授業にしたとのことです。おそらく、全国のほとんどの中学校で週29コマの授業をしているのではないでしょうか。たった2コマの削減では少ないと思うかもしれませんが、これが結構効果があったようです。
これにより、小学校では「2018年度には61時間だった時間外勤務の月平均時間が、2019年度には34時間へと5割近くにまで減少した」とのことです。
なお、「授業時数を補うため、夏休みの8月下旬に5日間の夏季授業を行い、3学期制を2学期制に移行して始業式や終業式の日にも授業を実施」したり、「休日だった創立記念日や県民の日にも授業を行うこととした」とのことです。
シーズン制の導入
週27コマに変更後、小学校では一定の変化が見られたものの、中学校では部活動の時間が長くなるだけだったようです。そこで、部活動を1コマ50分とする3シーズン制を導入し、以下のようにしたとことです。
①スタンダードシーズン(2月〜10月)
5時間授業の月・水・金は2コマ100分、6時間授業の火曜日は1コマ50分で実施し、木曜日は部活動なし。土日はいずれかに3時間程度。
②オフシーズン(11月〜1月)
木曜日に加えて火曜日も部活動なし。
③チャレンジシーズン(総合体育大会や新人体育大会3週間前)
木曜日を除く平日は各2時間、土日はいずれかに3時間程度。
このようなメリハリのある活動にしたことにより、限られた時間を有効に使おうという意識が教員と生徒に芽生え、導入前と比べ、大会実績は下がらなかったとのことです。
導入後のメリットとデメリット
シーズン制を導入した後の大きなメリットは、時間外勤務が格段に減ったことのようです。
「スタンダードシーズンやオフシーズンには部活動がある日も16時50分には生徒が下校するようになり、教員は17時ごろには職員室に戻れるようになった」ようです。これは大きいですよね。時期によると思いますが、通常、部活動を終えて職員室に戻るのは18時〜19時頃ではないでしょうか。17時に職員室に戻ることができれば、気持ちのうえでも余裕が出てくると思います。
その結果、「2021年6月には79時間だった中学校教員の時間外勤務時間の月平均は、2024年6月には43時間にまで減少」したとのことです。
一方、デメリットは外部移行が進んでいないとのことです。外部移行率は34%に留まっているらしく、地域移行に向けて道半ばとのことです。
活動時間が短くなることにより、その時間だけ指導に来てくれる人材はそう簡単に見つからないですよね。ただ、これだけ活動時間が短いのであれば、個人的にそこまで負担感を感じないのは思ってしまいます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
教員にゆとりの時間を生み出した部活動改革の工夫は部活動にシーズン制を導入し、メリハリのある活動にしたことです。
働き方改革は自分でできることもありますが、多く場合、上の立場の人間がしてもらった方が楽な部分があります。そういった意味で教育委員会主導でこのような改革を実行しているのは、守谷市の教員にとってはありがたい話なのではないかと思います。部活動をしたい先生にとっては物足りないでしょうが💦
なお、記事によれば、この改革を主導しているのは校長経験がある教育委員会の職員のようです。本ブログで度々書いていますが、学校の働き方改革のカギを握るのは学校長及び市町村教育委員会です。管理職経験もあり、多くの学校に影響を及ぼすことができる教育委員会の方がこの改革を主導していますので、この改革は大成功だと思います。全国各地でこのような事例が増えていくことを望んでいます。
以下、記事のリンク先ですので、興味のある方は覗いてみてください。部活動改革以外の紹介もあります。