前の記事の最後で書いたように、噂どおり、連休前(28日)に「令和4年度の教員勤務実態調査(速報値)」が公表されました。各メディアも取り上げていますので、概要については既にご覧になった方も多いことかと思います。
文科省のサイトは以下のとおりです。
教員勤務実態調査(令和4年度)【速報値】について:文部科学省 (mext.go.jp)
調査結果は、「概要版」と「本体」(とは書いていませんが)があります。時間がない方は「概要版」を見るのをおススメします(本体はスライド90枚です…)。
さて、文科省が謳っているのは、「全ての職種において在校等時間が減少したものの、依然として長時間勤務の教師が多い状況」(ちなみに文科省は近年、多くの文書等において「教員」ではなく、敬意を込めて「教師」という文言を使用します)ということです。
私が勤務する中学校の数字を見てみると、前回調査時の平成28年(2016年)に比べ、「教諭」の平日の在校等時間は「31分」減少しています。
この「31分」という数字を多いと思うか、少ないと思うか、人それぞれでしょうけど、個人的には平成28年度と令和4年度を比較して、業務の量がそれほど変化したとも思えませんので、大した変化ではないと思っています。むしろ、令和4年度つまり昨年度は、令和2、3年度よりもまともになったとは言え、コロナ禍における状況ですので、業務が制限されていた可能性があります。その証拠に、業務内容別の在校時間で見ると、「学校行事」が減っています。今年度から学校生活も含め、いろいろなものがコロナ禍以前におそらく戻ります。3年間、実施していなかった学校行事も復活することもあるでしょう。その状況の中、果たして在校等時間はどうなるのでしょうか…
また、気になるのは「朝の業務」が増えています。「朝の業務」の詳細を見ると、「出欠確認」もありますので、風邪症状で欠席する児童生徒の詳細な症状の把握等に時間を要したのかもしれません。ただ、もしかしたら、分類上ないとは言え、「登校指導」をしている方もいるかもしれません。
「登校指導(登下校に関する対応)」については、文科省が平成31年3月に通知したものによれば「基本的には学校以外が行うべき業務」とされており、特に登校指導については勤務時間開始より前であることが多いため、基本的にはする必要はないものと思っています。
しかしながら、現在僕が勤務する学校においても、始業のチャイムが鳴る十数分前から担任の先生方は教室に向かい、それ以外の先生方は校門や生徒昇降口付近に向かい、職員室はほぼ空になります。
たとえ、数十分であるにせよ、こういう気持ちで業務にあたることーこれの積み重ねが長時間勤務につながります。国がしないでいいと言っているのだから、しなければいいのに、と僕は思うのですが、こんな僕はよく「生徒のために仕事をしない教員」のレッテルを貼られます。
教育現場において、「生徒のため、子供のため」という言葉ほど恐ろしい言葉はありません。この言葉を振りかざすことで、業務内容は無限に膨れ上がります。自分が受けてきた教育や自分がしてきた教育が本当に必要なことか、子供にとって過度な指導・支援になっていないか、振り返るチャンスが、このコロナ禍だったと僕は思っています。
「コロナも落ち着いてきたから、さぁ、以前のように子供たちのためにまた頑張ろう!」なんて思っている人が多ければ多いほど、今後も学校現場は疲弊を極めることでしょう。
仕事は上から言われて減るものもありますが、自分で選択して減らすことーこういう考えが大事だと僕は常日頃思っています。