中学校の35人学級はいつから導入される?

教育政策

 前回の記事でも少し書きましたが、教職調整額の増額と合わせて、中学校にも35人学級が導入されることが政府内で決まりました令和8年度(2026年度)に中学1年生から順次導入されるようです。小学校の35人学級が次年度(令和7年度)に全学年実現しますので、順番どおりという感じです。

 そこで今回は、35人学級の意味と適正な学級規模について、個人的な経験を踏まえて書きたいと思います。

 本記事を読めば、35人学級の意味や適正な学級規模について理解できると思います。

 以下、詳しく見ていきます。

35人学級の意味とは?

 学校関係者にとっては当たり前のことですが、学校関係者以外にとっては「35人学級」の意味がわかりにくいため、まず簡単に説明します。

 35人学級とは、学級の児童生徒の数を必ず35人にするわけではなく、最大で35人にするということです。例えば、ある学年の児童生徒が105人いる場合は、1学級35人の学級が3つできることになり、72人の場合でも、1学級24人の学級が3つできることになります。

 このように、学年全体の児童生徒数が105人でも72人でも学級の数は同じですが、学級に所属する児童生徒の数がかなり違ってきます。35人学級の場合、35の倍数に限りなく近い方が1学級あたりの児童生徒の数は多く、逆に少しでも超えれば少なくなります。

 1学級あたりの人数が24人と35人では、担任の学級事務等に係る負担は全く異なりますので、個人的には35の倍数を少し上回った数がベストですが、この数は学校や教師の希望でどうにかなるものではありません。「数が多いから、よその学校に言ってください」なんてことは言えないからです。

 我々教員にとって、今後年度末にかけて次年度の各学年の児童生徒数が何人ずつかということは気になるところなのです。

実態は35人や40人ではない

 さて、現在、中学校は40人学級です。しかし、地域にもよると思いますが、教室に40台以上の生徒の机・椅子が置いてある学校が多いのではないでしょうか。

 これはどういうことかと言うと、特別支援学級に在籍する生徒の机・椅子も置いてあるからです。

 特別支援学級の生徒は、障がいの程度は様々ですので、ある教科だけ通常学級で授業を受けたり、朝の会や給食、帰りの会だけでも教室で過ごしたりする生徒がいます。ですので、当然、これらの生徒の机・椅子も必要になってくるのです。

 文科省のデータによれば、特別支援学級に在籍する児童生徒数は、10年前に比べ約113%も増えています(令和5年度)。現在僕が勤める学校においても、その増え方は実感できます。学年にもよりますが、1学級あたり3人以上は在籍していることが多いです。つまり、教室には43台程度の机・椅子が置いてあります。

 近年建てられた学校を除いて、教室というのは40人分の机・椅子を置くということを想定して設計されていると思います。現在のような状況では、教室もぎゅうぎゅうの状態になりますし、1人の担任が40人以上の生徒を抱えていることになります。これはやはり多すぎると思います。

適正な学級規模とは?

 では、ここから個人的な経験も踏まえ、適正な学級規模について書きたいと思います。

 そもそも、中学校も35人に減るとはいえ、40人や35人という数は、病気や怪我のとき以外は基本的に登校し、児童生徒に対して一斉に授業をするという数だと思います

 現在、不登校児童生徒数も増加する一方であり、教室には常に5人程度いない学級も多いです。

 また、40人もいれば児童生徒の学習に対する理解度は様々であり、教員一人では文科省が推進している「個別最適な学び」など実現できないと思います。

 そして、特別支援学級の児童生徒数も今後増加することが予想されます。35人にしたところで、教室には40台以上の机・椅子が置いてあることがスタンダードになってくると思います。

 そこで、個人的には25人がベストだと考えています。30人以上はこれまで書いたように多すぎますし、20人以下も少なすぎて学校行事や学習の深まりに影響が出ます。

 僕はこれまでに25人程度の学級を何度かもったことがありますが、非常に仕事がしやすかったのを覚えています。

 そう思った理由は、①一人一人に目が行き届きやすい、②提出物のチェックや通知表の所見の作成にかかる時間が少ない、③生徒に様々な役を割り当てやすい、この3点があります

 20人以下の学級はもったことがありませんのでわかりませんが、たとえば②などは少なければ少ないほど良いですよね。しかしながら、学級の中での諸活動(班や係、委員会など)、授業での意見交流、学校行事への取り組みを考えると、25人程度がベストかと思います。

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 今回は、中学校の学級規模が変更されることをうけ、適正な学級規模について書きました。

 繰り返しますが、中学校の35人学級は、令和8年度(2026年度)に中学1年生から順次導入されるようです。

 個人的に25人程度が良いと書きましたが、もしそれが実現した場合、教員数が必要になってきます。現在の教師不足の状況では、その数は確保できませんので、求められる学力の変化、不登校児童生徒数や特別支援学級の増加等を一体的に考えながら学級規模は議論していくことが必要かと思います。

 これについてはまた別の機会に書きたいと思います。

 

 

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