先日(令和7年1月24日)、15回目となる中教審の「質の高い教師の確保特別部会」が開催されました。昨年7月以来の開催です。
昨年8月に答申を出して本部会の役割は終えたと思っていたので驚きましたが、文科省としては今後も学校の働き方改革を進めていくという意志を示しているのかもしれません。
そこで今回は本部会の資料から、昨年末になされた令和7年度予算に関する文科大臣と財務大臣の合意内容について書きたいと思います。
本記事を読めば、次年度から教員の処遇がどう変わるのかがわかると思います。
結論を先に言えば、教職調整額が上がり、担任手当が支給されることになります。
以下、詳しく見ていきます。
教職調整額の増額
これについては以前の記事で詳しく書きましたが、簡単に書くと、令和7年度(令和8年1月)から調整額が毎年度1%ずつ上がり、最大10%まで上がることになります。
今期の通常国会に給特法の改正案を提出するとのことです。先の衆院選で自民党が議席を減らしたとはいえ、給特法の改正に関して野党から反対意見が出ることはないと思われます。
また、以下のような記述もあります。
中間段階(令和9年度以降)で文科・財務両省で「働き方改革」や財源確保の状況を確認しながら、その後の教職調整額の引き上げ方やメリハリ付け、その他のより有効な手段なども含めて真摯に検討・措置する。
現在のところの予定では、令和12年度(2030年度)まで段階的に調整額を引き上げていくとしていますが、将来的には他の方法も検討するということです。
個人的には、教員の業務量や在校等時間には差がありますので、現行の4%すら廃止して時間外勤務手当を支給してほしいと思っています。
学級担任手当の支給と「新たな職」
小中学校の学級担任に、月3,000円の特別手当を支給するとのことです(義務教育等教員特別手当に加算)。これは大きな変化ではありますが、将来的には増額をしてほしいと思います。なぜなら、担任であるだけでしなければならない業務が山のようにあるからです。月3,000円では少なすぎます。
理想としては、担任の業務で担任以外でもできることは学年部で業務分担すべきなのですが、これに関しては学年主任のマネジメント、学年部の人間関係、副担任の授業時数等などから考えると現状としては難しいものがあります。特に、担任に若手が多く、副担任にベテランが多いと仕事を頼むことは難しいです。
また、これも以前から書いていますが、令和8年度(2026年度)から「新たな職」(主務教諭)が創設されることが予定されています。教諭と主幹教諭の間の中堅職員を対象とし、教諭より給与を月6,000円程度上げるとのことです。
主な業務内容は通常の教諭の業務に加え、「学校横断的な取組について学校内外と総合的に調整」、「若手教師へのサポート強化」とあります。「学校横断的な取組」の例として、教育相談、特別支援教育、情報教育、防災・安全教育などを挙げています。
これらの業務を「新たな職」の教員が担うとしたら、相当大変な気がします。現在の主幹教諭の役割に近いものがあります。精神的にも体力的にもタフでないと務まらない職のような気がします。
学級規模と教員定数の変更
これは教員の処遇ではありませんが、学校現場としては大きな変更ですので書いておきます。
今後4年間で学校の指導・運営体制の充実を計画的に実施するとし、令和7年度は以下のことを実施するとしています。
小学校35人学級の推進(令和7年度で6年生まで完了)
小学校教科担任制の第4学年への拡大
中学校の生徒指導担当教員の配置拡充
これらの体制を整備するために教員定数5,827人を改善するとしています。ちなみにこの数字は過去20年で最多であるとアピールしています。
また、これは以前書きましたが、令和8年度(2026年度)から中学校も35人学級が順次導入されることになっています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
次年度から教員の処遇の変化として、教職調整額が上がり、担任手当が支給されます。
ちなみに、合意内容の最後に「将来的には平均時間外在校等時間を月20時間程度に縮減することを目指し、まずは今後5年間で月30時間程度に縮減することを目標とする」とあります。
令和4年度の中学校教諭の平均が58時間であり、しかもこれはコロナ禍の数字ですので、かなり抜本的な取組をしないと達成が難しい気がしますが、冒頭にも書いたように、今後も文科省としては働き方改革を推進していく気持ちなのでしょう。大臣や担当者が変わっても政策が変更されないことを期待します。
今回の記事に関する文科省の資料は以下のページにあります。興味がある方は覗いてみてください。