今週の水曜日(5月10日)に、教員の処遇向上に関する大きなニュースが報じられ、話題となりました。
自民党の「令和の教育人材特命委員会」が「令和の教育人材確保に関する実現プラン(提言)」を発表したのです。
ニュースでは、主に給与面が報じられ、「教職調整額が2.5倍」、「担任手当の創設」などの文言をよく見かけました。「2.5倍」と聞くと、とても増えるように思いますが、調整額を4%から10%にするとのことですので、手取りが2.5倍になるわけではありません。ニュースが出たとき、同僚の職員とも話題になり、「たかが6%上げてもねぇ」と否定的な意見が多く、ネット上のコメントを見ていても同様の意見が多いですが、僕自身はこれは大きな進展であると思っています。
それは、今回の提言が、与党・自民党の提言であるということです。
国の教育政策は、当然ながら文科省が担っていますが、近年は経産省や総務省も存在感を増してきています。また、真偽の程は定かでないですが、中央省庁の中でも文科省は立場が弱く、国の財政を司る財務省に強く言えないため、文科省が教育に関する予算を増やしたいと交渉しても、なかなか通らないと言われています。
今般の提言は、与党・自民党の提言であり、今年の「骨太の方針」に反映させるとも報道されています。つまり、国の予算にしっかりと反映される可能性が高いということです。確かに、額は微々たるものかもしれませんが、政権与党が積極的にこのような提言をしてくれるのは大変ありがたいとも思っています。
また、注目すべきは本特命委員会の委員長が萩生田光一氏であることです。萩生田氏は、文科相在任中に、教員免許更新制の廃止に向けた議論をリードし、実現に導きました。萩生田氏は我々教員の処遇を何とか改善させようと思ってくれているのだと僕は勝手に思っています(決して熱烈な支持者ではないですが)。
給特法の制定以降、これまで約50年変わらなかった制度が変わるのというのは、とても大きな進歩だと思います。
我々学校現場の人間は、「金ではなく、人を増やしてほしい」とよく言いますが、その「人」がいないのが現状です。処遇を少しずつ改善することにより、まともな労働環境になり、教員を志望する人が増えることを願うしかありません。
当然ながら、同時並行で進めなければならないのが、業務の軽減です。これについても、あまり報道されてはいませんが、今般の提言でも明記されています。教員の業務はよく言われるように、「ビルド&ビルド」であり、学校現場で求められる〇〇教育がどんどん増えています。しかし、こういった業務も可能な限り、外部委託することにより、業務の軽減は可能です。我々教員自身が、発想を変えていくことも必要だと僕は思っています。
なお、今回の「提言」は検索したのですが、元資料が探せませんでした。教育研究家の妹尾昌俊氏と日本大学教授の末富芳氏が記事を書いていますので、提言を詳細はこれらの記事をご覧ください。