本ブログでたびたび書いている中学校部活動の地域移行(展開)ですが、今年度(令和7年度)までを「改革推進期間」としており、各自治体が取組の総括をする動きが見られます。
そんな中、先日、僕の地元紙で衝撃的な記事を目にしました。
地域移行が完了したのは県内44自治体中、2町村のみ
上に書いた「改革推進期間」は令和5年度を起点にしています。この間にさまざまな取組をしてきたと思いますが、約3年間でたった4.5%しか達成していません。これは事業としては失敗と言わざるを得ません。
では、なぜ部活動の地域移行(展開)はこんなに進まないのか、今回はその理由(憶測も含みます)などを書きたいと思います。
本記事を読めば、部活動の地域移行(展開)の概要やなかなか進まない理由がわかると思います。
結論を先に言えば、前例がない事業であるのに各市町村ごとの対応を求められているためです。
国も方針転換するくらいの難事業
そもそも、部活動の地域移行(展開)は話が出てきた当初からうまくいかないことは、学校現場の人間はみなわかっていました。なぜなら、平日の夕方と休日に時間があり、なおかつ、部活動指導ができる人材など、教員以外にそんなにいないからです。
現体制でうまくいっているように見えるのは、単に学校に勤める教員を充てているからであり、仮に経験者等、指導ができる教員しか部活動担当に充てないとなると、現体制においても成り立たないでしょう。そんな現状であるのに、教員を除外した部活動指導体制などできる訳がありません。
その点、そのような現状を踏まえ、新たな部活動体制を築こうとしている熊本市の策は賢明だと思います。詳しくは以下の記事をご覧ください。
もともと、部活動の地域移行は、教員の時間外勤務を減らすため、国が言い出したことですが、遅々として進まない現状に対し、名称も「地域移行」から「地域展開」へと変わりました。「移行」という語句を使うと、部活動が学校から完全に移ってしまうというイメージを持つためだと思います。詳しくは以下の記事をご覧ください。
また、上にも書いたように「指導者の確保」がもっとも難題であるため、小学校教員も対象とする策も出ています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
地域移行(展開)が進まない理由
では、なぜ、地域移行(展開)はうまくいかないのか。答えは簡単です。国は号令をかけるだけであって、実務の部分は各市町村に任せているからです。
各市町村の担当者も、前例や仕事の進め方のお手本のようなものがあれば、仕事を進めることができるでしょう。しかし、前例もなく、また、地域によって学校の数や人材の有無、施設の数などはばらばらです。同じように進めようと思っても、途中で壁にぶち当たります。また、その担当者も教員もしくは教員OBなら、なおさら進めるのは難しいでしょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。
地域移行(展開)を実現する方法
最後に、地域移行(展開)を実現するための僕なりの案を書きます。
指導者は希望する教員も含める
上にも書いたように、最大の課題は指導者の確保であり、その一方で部活動指導をしたくて教員になった人もいます。部活動指導を教員の仕事から完全に外してしまうと、生きがいを失う教員がいるのも事実です。部活動指導をしたい教員にとっては、報酬すら不要と思いますが、報酬をしっかり支払って、希望する教員に部活動指導に携わってもらいます。
そこで、教員に部活動指導に携わりたいかの希望調査をとります。その上で次のこともします。
人事異動と一体化する
部活動の地域移行(展開)の業務は、どの自治体も体育担当の部署が主に担当していることが多いかと思いますが、人事担当の部署と連携して、部活動指導をしたい人を考慮した人事異動をするしかないと思います。その結果、競技人口が少ない種目だと、人事が固定化されていく可能性はありますが、それも仕方ないと思います。
もちろん、これも難題だと思いますが、これが実現できると、部活動指導をしたい教員にとっても、したくない教員にとってもモチベーションは上がります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
部活動の地域移行(展開)がうまく進まない理由は、前例がない事業であるのに各市町村ごとの対応を求められているためです。
部活動担当を外れたい先生方においては、遅々として進まない現状に対して落胆しているかと思いますが、かなり難しい事業であるということをご理解ください。






