先日、9月30日付けで全国の都道府県教育委員会等に発出された通知文の前文についての記事を書きましたが、今回から内容に入っていきたいと思います。
今回は、「1.学校における働き方改革の更なる加速化」のうちの「(1)学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進」の最初に書かれている(服務監督)教育委員会の役割について書きたいと思います。
本記事を読めば、学校の働き方改革を進めるための教育委員会や学校管理職の役割がわかると思います。
結論を先に言えば、教育委員会は従来の役割を見直し、積極的に学校を支援する必要があります。
以下、詳しく見ていきます。
役割その1 予算の確保
最初に説明しておくと、服務監督教育委員会とは、県立学校であれば県教育委員会、市町村立学校であれば市町村教育委員会になります。
通知文では以下のように記されています。
(服務監督教育委員会は)業務の優先順位を踏まえて思い切った業務の廃止を打ち出す等、真に必要な取組に精選することが、教育の質の向上の観点から重要であるという認識を学校・家庭・地域とも共有しつつ、業務の適正化のために必要な予算措置等も含め主体的な役割を引き続き果たす必要がある。
教育委員会主催の業務というのは、学校行事等の中でそこまで多くないですが、例えば研究発表会などはその目的や効果などを含めて方法等を見直すべきだと感じています。
もちろん、授業研究は大事なことですが、研究すること自体が目的になり、中身が伴わないことも少なくありません。研究発表を通じてどんな業務に取り組むか、それは効果があるのか、ということを明確にしたうえで準備を進めるべきだと思います。
また、上の赤字の部分は通知文中に下線が引かれている箇所なのですが、やはり予算措置はとても大事になってきます。予算がないと事業は実施できないからです。
市町村教育委員会事務局の中に学校現場に詳しい職員がおり、その人が学校や教員の負担軽減のために汗をかきたいと思っていれば予算要求をしてくれるでしょうが、そうでない場合もあると思います。そうでない場合は、学校現場から声を上げていくしかありません。必要な物品等があれば、積極的に要求していく他ないと思います。
全国で働き方改革が進んでいる自治体や学校のほとんどは、教育委員会と自治体の予算編成の権限をもつ首長部局との連携がしっかりとれています。教育委員会というのは、学校現場の人間からすると大きな組織に見えますが、自治体という大きな組織の一部でしかありません。これまでも本ブログで述べてきたように、市町村立学校の働き方改革は、市町村教育委員会の予算措置が鍵を握っている部分もあります。
役割その2 学校の伴走者
次に、以下のように記されています。
教育委員会は、従来型の指導・助言にとどまらず、現場との対話を通じ、課題解決に向けた学校の取組を支援する伴走者としての役割が期待されていることも踏まえる必要がある。
これを服務監督教育委員会が読んで、しっかり実行してほしいと思います。教育委員会というのは学校を管理・監督する、学校より上の立場であるとイメージが強いですが、この部分の趣旨はそうした上下関係ではなく、同じ立場に立って支援するというイメージだと思います。
そのために、「現場との対話」とありますので、教育委員会の職員が積極的に学校に足を運び、職員の勤務環境や勤務状況、備品の使用状況等を確認する必要があると思います。これらの情報は文書として教育委員会に上がるものですが、やはり自分の目で見ることはとても大事だと思います。日々の業務が忙しいとは思いますが、定期的に学校現場に足を運んでもらいたいと思っています。
役割その3 人材の確保と活用
最後に、以下のように記されています。
「チーム学校」の実現に向け、学校は、教師と事務職員や支援スタッフ等が業務を分担して「協働」することを徹底するとともに、学校の組織体制の在り方を必要に応じて見直す必要がある。
この部分は学校に向けて(特に管理職に向けて)書かれています。
まず、「チーム学校」は平成27年に中教審が答申したもの(詳細はこのリンク先をご覧ください)で、簡単に言えば「学校の業務は教員だけでなく、学校にいるスタッフ全員で協力してやっていきましょう」というものです。答申から数年経過しましたが、未だに十分に機能しているとは言えないのではないかと思います。
これを十分に機能させるために大事なことは、まず、服務監督教育委員会が、授業以外のことを何でもするようなスタッフを雇用することが大切です(「教員業務支援員」でもいいですが、市町村単位で雇用することが大切です)。理想としては、各学年部に1名です。このスタッフに、言い方は悪いですが、あらゆる雑用を依頼するのです。
そして、次に大事なのが管理職のマネジメントです。なぜなら、教員は真面目な人間が多く、また、学校にいる教員以外のスタッフは教員より年配である人が多く、「これをお願いします」とか「やっといてください」とか頼みにくいからです。
そのため、管理職が事務職員や支援スタッフの業務内容を明確に周知するとともに、「業務依頼リスト」のようなものをつくり、業務を依頼しやすい体制づくりをすることが必要です。
学校には、教員でなくとも(教員免許がなくとも)できる業務が山ほどあり、教員以外のスタッフにいかに業務を割り振るかで教員の勤務時間は変わってきます。個人的には学校の働き方改革を進めるにはこの取り組みが最も大事だと思っています。
まとめ
いかだだったでしょうか。学校の働き方改革を進めるための服務監督教育委員会の役割は、「予算の確保」、「学校の伴走者」、「支援スタッフの確保」です。日々忙しいとは思いますが、是非とも進めてほしいと思います。
以下、通知文のリンク先です。本記事に関連する部分は3ページです。