先日(令和8年3月5日)、文科省が「教師不足」に関する実態調査を公表しました。ニュース等でも取り上げられたましたので概要をご覧になった方も多いかと思いますが、今回は文科省の公表資料をもとに教師不足の現状と対応について書きたいと思います。
本記事を読めば、令和7年度時点の教師不足の現状と今後の国の対応策についてわかると思います。
結論を先に言えば、全ての校種及び全国合計で教師の不足率は0.45%(3,827人)であり、令和3年度の調査に比べ、悪化しています。
以下、詳しく見ていきます。
調査結果の概要
まず、数字から見ていきましょう。
令和7年5月1日時点で、全ての校種及び全国合計で不足率は0.45%(3,827人)であり、令和3年度の調査に比べ、悪化しているとのことです(令和3年度の不足率は0.25%で不足数は2,065人)。
校種別に見ると、小学校が0.44%(1,699人)、中学校が0.47%(1,031人)、高等学校が0.33%(508人)、特別支援学校が0.71%(589人)とのことです。
ただ、不足の状況は自治体によってばらつきがあり、不足数の多い自治体が全体を押し上げている傾向にあるとしています。
ちなみに、不足率が高い都道府県(小学校)は、青森県(3.17%)、島根県(3.02%)、福島県(2.35%)です。一方、不足率が0%の都道府県(小学校)は、東京都と高知県のみです。
一覧は以下のとおりとなっています。まず、小学校です。

(出典:文部科学省HP)
次に中学校です。

(出典:文部科学省HP)
「教師不足」の要因
では、なぜ「教師不足」になってしまうのか。今回の資料では、各教育委員会への聞き取りをもとに、その原因を以下の3つとしています。
①近年の大量退職等に伴う採用の拡大により、若手教師が増加し、産育休取得者が増加しているため、臨時講師の需要が増加
②特別支援学級の増加や教育環境の変化に合わせた指導体制の充実等の結果、全体として教師の需要が増加。
③採用拡大による正規採用が進んだことで、従来臨時講師を担ってきた既卒受験者が減少。また、地域によっては民間企業との競争の下で、臨時講師を含む教師のなり手が減少。
おそらく、このような話は全国の先生方はどこかで聞いたことのある話かと思います。大量退職期は予測できたことから、それを見越して多く採用しておけば良かったのに、とも言いたくなりますが、定数や予算の問題上、それは難しいものです。
また、おそらくですが、各教育委員会は、退職した方が何らかの形で学校に留まってくれることを期待していたと思うのですが、想定より少ないのだと思います。僕の周りにいる現役の教員ですら、60歳を超えてなお、学校に勤め、子どもたちと関わることを不安に思っています。
また、上には記載がないですが、近年、学校の働き方に関する悪い部分ばかりがクローズアップされ、学生から敬遠されていることも大きな理由だと思います。教師という職業は子どもの成長に関わることができる、やりがいのある仕事ではありますが、子どもは短期間で成長するものではありません。「コスパ」や「タイパ」を求める現代の若者には割に合わない仕事だと捉えられることでしょう。
ちなみに、公表資料の中にありますが、なりたい職業を「学校の先生」とした学生が教職課程を履修しなかった理由として最も多いのは、「民間企業等、教職以外の職業への志望度合いの方が高かったから」(55.9%)となっていますが、「学校関係者から得た情報で職場環境や勤務実態に不安を持ったから」(21.8%)、「報道で得た情報で職場環境や勤務実態に不安を持ったから」(21.2%)等の「不安」もあり、他の職業の志望度合いが高まったのだと思われます。
「教師不足」への対応
このような現状を踏まえ、文科省は以下の対応に取り組むとのことです。
①質の高い教師志願者を確保する
学校における働き方改革をさらに進め、教師の処遇改善をしていくとのことです。
②多様な分野から人を呼び込む
地域教員希望枠を活用した教員養成大学の機能強化、特別免許状等の活用などをしていくとのことです。
③特に教師不足が深刻な自治体に伴走する
特に教師不足が厳しい自治体の教育委員会に、文部科学省担当職員が伴走支援し、教師不足の要因分析や要因への包括的な対応を支援するとのことです。
③は実際にどのくらい「伴走」してくれるかわかりませんが、①と②においては既に取り組んでいるものであり、今後大きな変化が見込める状況でないと思います。
そもそも、生産年齢人口の減少による働き手不足は学校現場に限った話でなく、どの業種も同じだと思います。社会構造の変化に対応する働き方の転換が求められる時代になってきています。従来、人間が行ってきたことをAIが担っていくことは、どの労働現場においても今後増えていくでしょう。
もちろん、学校は「人を育てる」職場ですので、人間が担っていかなければならないことは当然です。しかしながら、学校や公教育という制度の在り方については、人口動態の変化や科学技術の進歩等の社会環境の変化に伴い、変更していく必要があると思っています。文科省の方々、それを考えていただけませんか? そうしないと、教師不足と不登校児童生徒は増え続ける一方だと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
令和7年度時点における教師不足の現状は、全ての校種及び全国合計で教師の不足率は0.45%(3,827人)であり、令和3年度の調査に比べ、悪化しています。
より詳しく調査結果等を見てみたい方は以下のページをご覧ください。
なお、教師不足に関しては以下の記事もご覧いただくと幸いです。



