以前の記事で、現行学習指導要領の評価の観点の一つである「主体的に学習に取り組む態度」は、次期学習指導要領から評定の対象外になる予定であることを書きましたが、それを踏まえ、今後、「学びに向かう力、人間性等」をどのように評価していくのかという議論が先日(令和8年3月30日)、中教審の特別部会でなされたようです。
そこで今回は、次期学習指導要領で「学びに向かう力、人間性等」はどのように評価する方向性なのかということについて書きたいと思います。
本記事を読めば、次期学習指導要領の学習評価の方向性がわかると思います。
結論を先に言えば、「学びに向かう力・人間性等」の児童生徒の姿を教師が見取り、「思考・判断・表現」の過程で特に表出した場合に「◯」をつけることとする方向性です。
以下、詳しく見ていきます。
これまでの議論の経緯
まず、これまでの議論の経緯をおさらいしておきます。
現行学習指導要領から、資質・能力の3つの柱として、「(生きて働く)知識・技能」、「(未知の状況に対応できる)思考力・判断力・表現力等」、「(学びを人生や社会に生かそうとする)学びに向かう力・人間性等」が整理されました。
そして、これらの資質・能力を評価する手段として3つの観点が設定されましたが、「学びに向かう力、人間性等」は、感性・思いやりなど目標に準拠した評価や評定に馴染まないものを除いた「主体的に学習に取り組む態度」を評価観点として設定され、「粘り強さ」や学習の「自己調整」の観点から評価するものとされました。
この考えがとてもわかりにくく、学校現場では混乱が生じているのが事実です。そこで今回、「学び向かう力・人間性等」をどのように評価していくかを見直すことになり、「主体的に学習に取り組む態度」という観点をなくす方向性となっています。
ただ、「学び向かう力・人間性等」を評価しないということではなく、「思考・判断・表現」に付記するというところまで示されていました。
この続きが今回の議論になります。
なお、これまでの経緯についての詳細は以下の記事をご覧ください。
「思考・判断・表現」への付記について
では、どのように「思考・判断・表現」に付記していくのでしょうか。
上に挙げた過去の記事でも書いていますが、次期学習指導要領では、「学びに向かう力・人間性等」を「学びを方向付ける人間性」・「初発の思考や行動を起こす力・好奇心」・「学びの主体的な調整」・「他者との対話と協働」の4つの要素で構成するとしています。
このうちの「初発の思考や行動を起こす力・好奇心」・「学びの主体的な調整」・「他者との対話と協働」が「思考・判断・表現」の過程で特に表出した場合に「◯」をつけることとするようです。
ただ、どのような場合に「◯」をつければ良いのかが非常に判断が難しいことが予想されるため、「思考・判断・表現」の過程で教師が見取るための「具体的な児童生徒の姿」(「見取る姿」(仮称))を今後、各教科等ごとに示すとしています。
以下は、中学校数学のイメージです。
事象に知的好奇心や目的意識をもって問題を見いだし、数学を活用しようとしている
他者と数学的論拠に基づいて協働し、問題解決を進めようとしている
問題発見・解決の過程を振り返って評価・改善しようとしている
それぞれ、上の3つの要素とリンクしていますよね。では、これをいつ、どのように見取るのかということについてはこう説明しています。
3つの要素は、ある程度幅のある学習期間の中で表出する特質がある一方、特定の学習場面や学習課題のみで見取ろうとすると、育成・評価したい資質・能力と観察可能な成果(評価材料)の「ずれ」が生じやすくなるため、できる限り長い期間をかけ、全体として見取る。
「見取る姿(仮称)」に即した行動が徐々に増え、様々な学習場面で安定して表出するようになった、「継続的な発揮」を見取る。
つまり、一回の行動だけでなく、それなりの一定の期間(具体的には示されていません)の中での行動を見取ると言っているわけです。
言っていることはもっともであり、納得できる文言ですが、実際どのように「見取る」のか難しく感じます。一定の期間とは言え、35人程度の児童生徒の行動を一人の教師が観察していくのは容易ではないように感じます。これまでも懸念されてきたような形式的な評価材料集めが尚更増えていくような気がします。
評定との関連について
最後に、「◯」がついた場合の観点と評定との関連について紹介します。
まず、前提として、「付記された「〇」は、「思考・判断・表現」の育成状況の程度を評価する中で、一体的かつ必然的に勘案されるため、「思考・判断・表現」の観点別評価を介して、評定に影響を与える」としています。
そして仮に「知識・技能」がA、「思考・判断・表現」でBであり、「思考・判断・表現」に「◯」がついた場合、以下のようになるとしています。
一体的な勘案の結果として、評定を5とする総合的な判断がなされることが有り得る
ちなみに、「◯」がつかない場合も、4または5となることが想定されるとしています。個人的には「◯」がつかない場合のABは4の方がわかりやすいと思いますが💦
一方で、以下のようにもなるとしています。
一体的に勘案するとはいえ、「◯」がどの程度「思考・判断・表現」の育成と結びついているかの度合いは児童生徒によっても異なることを踏まえれば、「〇」の付記は、自動的に評定を一段階上げることを要する性質のものではなく、「B〇」の場合であっても、評定を4とすることもあり得ることになる。
つまり、AとB◯の組み合わせだったら、4と5の両方があり得るとしています。その理由については、以下のように説明されています。
これは、「〇」を勘案していないのではなく、「〇」は「思考・判断・表現」と一体的に勘案されるものであることから、思考・判断・表現の育成状況の程度の評価との一体的な勘案の結果として、評定を一段階上げるには至らなかったということになる。
これは現在の評価でもありますが、AやBの観点別評価の中でも幅があるということですね。
今までの説明をまとめたのが以下の図になります。

(出典:文部科学省HP)
まとめ
いかがだったでしょうか。
次期学習指導要領における学習評価は、「学びに向かう力・人間性等」の児童生徒の姿を教師が見取り、「思考・判断・表現」の過程で特に表出した場合に「◯」をつけることとする方向性です。
より詳しく見てみたい方は以下のページをご覧ください(資料1-1を参考にしています)。




