前回に引き続き、中教審の「質の高い教師の確保特別部会」(第15回)の配付資料の中の「教師の「働きやすさ」と「働きがい」実現プラン」から、学校現場からよく上がる声に対しての文科省の政策を紹介したいと思います。本記事を読めば、学校の働き方改革に関する今後の文科省の政策がわかると思います。
今回は以下の2つの声に対しての文科省の政策です。
多様な業務が増加して、人が足りない
採用直後から役割を果たせるか不安
結論を先に言えば、①定数の改善・支援スタッフの充実、②「新たな職」が新規採用職員サポートになります
以下、詳しく見ていきます。
定数の改善・支援スタッフの充実
学校の多様な業務に対応するため、今後、以下のような策をするとしています。
ちなみに、次年度(令和7年度)は定数を5,827人改善するとのことであり、この数字は過去20年間で最多ということです。
小学校教科担任制の拡充(4年生)
現在、高学年のみの教科担任制を4年生にも拡大し、今後4年間で3,200人定数を改善するとのことです。僕は小学校勤務ではないのでわかりませんが、教科担任制は全ての学校で導入されているのでしょうか。ある程度の規模の学校でないと難しいような気がしますし、時間割をつくるのが煩雑になるような気がします。
中学校生徒指導担当教師の配置拡充
上の政策と同じく、今後4年間で2,640人改善するとのことです。これについては資料が見当たらないので詳細は不明ですが、現在の生徒指導主事とは異なる役割ということなのでしょう。授業も一切もたず、生徒指導のみ担当するとのことでしょうか。
教員業務支援員の全小中学校配置
個人的に学校現場に一番欲しい人材である「何でも屋」の教員業務支援員ですが、これについては今年度から、全小中学校に配置されることになっています。しかし、僕が勤める学校にはいません。皆さんの学校にはいるでしょうか。
教育行政のことをそこまで熟知しているわけではありませんが、国が予算化しているだけで、自治体が予算化していないだけかもしれません。確か、国と自治体の財政負担比率は1:2だったと思います。
なお、これまでに挙げた3つの策以外にも「特別支援学校のセンター的機能強化」、「副校長・教頭のマネジメント支援の配置充実」などいくつか挙げられていますが、長くなりますので省略します。詳しく見てみたい方は末尾のリンク先をご覧ください。
また、令和8年度から順次、中学校に35人学級を導入するとのことです。これについては以下の記事をご覧ください。
「新たな職」が新規採用職員をサポート
令和8年度(2026年度)から登用予定の「新たな職」(主務教諭)については以前の記事でも触れてきましたが、「新たな職」の役割を以下の2点としています。
学校内外との総合調整
若手教師の支援
学校にもよると思いますが、現在の主幹教諭の役割にかなり近いものとなります。正直、これは相当ハードな職だろうと思います。「調整」というのは精神的にも体力的にも骨の折れる仕事だからです。こちらの方がメインになれば、若手の支援をする余裕などないのではないかと思います。
さらに、若手教師をサポートするために、上にも書いた教科担任制を拡充し、新規採用教員の授業の持ち時間を少なくするとのことです。これができれば嬉しいですよね。
また、「産育休の代替教員に正規教員を計画的に配置できるよう政令改正(令和7年4月1日施行)」というのもあります。これはあまり報道されていませんが、通常、臨時採用として雇う職員を正規でまかなえるというのは学校現場にとって大きいと思います。ただ、昨今の教員不足の中、そこまでの人的余裕があるのか疑問です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今後、文科省は学校現場の働き手不足及び若手教師支援のために、①「定数の改善・支援スタッフの充実」、②「「新たな職」が新規採用職員サポート」をしていくとのことです。
なお、学校現場からの声は他に以下のものがあります。
仕事に見合った処遇が得られていない
頑張っている人が報われる処遇にしてほしい
これに対する政策については、以下の記事をご覧ください。
今回の記事に関する文科省の資料は以下のページです。興味がある方は覗いてみてください。