結局、教職調整額は10%?

教育政策

 先日(4月4日)、11回目の「質の高い教師の確保特別部会」が開催されたようです。その中で、教員の時間外勤務手当について否定的な意見が相次ぎ、教職調整額を増額する方向で議論が進んだようです。議事録がまだ公表されていませんので詳細は不明ですが、同部会の模様を報じた「教育新聞」の記事が珍しく読むことができましたので(会員登録しないと読めないことが多いのです。ちなみに、スマホでは読めましたが、PCでは読めませんでした💦)、この記事を要約しようと思います。本記事を読むと、同部会の概略をつかむことができると思います

管理職が教員の業務を把握できない?

 時間外勤務手当を支給するためにはまず、学校管理職等が個々の教員の業務内容を把握することが求められますが、出席委員の多くは「教員の業務は時間では区切れない業務が多い」、「時間外勤務が必要かどうか、管理職が適切に判断することは極めて難しい」、「勤務時間の内外を切り分けることは、高度専門職としての自律性を失う」などの意見を述べ、「時間外勤務手当の支給は公立学校の教員になじまない」としたとのことです

 ここからは僕個人の意見です。確かに、学校は生徒指導等で突発的な対応を求められることもあり、良い授業をしようとすれば準備に際限はありませんが、それは教員以外の職種でも同じではないでしょうか。つまり、どんな仕事にも突発的な対応は求められますし、こだわりをもって仕事にあたれば時間は際限なく必要だということです

 逆に言えば、教材研究などの業務は「時間で区切るもの」と思っています。極端な言い方をすれば、良い授業をするために日夜、寝る間を惜しんで教材研究に励み、体調を崩すこともあるかもしれません。それを「教員の主体性や自律性の結果」として良いのでしょうか

 際限がないからこそ、完ぺきな答えはないからこそ、時間を区切る必要があるのではないでしょうか。時間を区切って教材研究をし、もし授業がうまくいかなくても、それを反省し、次の授業に生かせれば良いのです。

 つまり、管理職は時間外勤務の必要性を「適切に判断」する必要はなく、個々の教員が教材研究を含め、どの業務にあたっているため時間外勤務をしているかを把握していれば良いのです

 僕が以前、行政機関に勤めていたときもこのような感じでした。時間外勤務をする必要があるときは、「〇〇業務のため、〇時まで時間外をします」と直属の上司に口頭で伝えた上で、申請していました。いちいち、「適切な判断」を仰いでいませんでした。

 このように、個々の教員が何の業務のため時間外勤務をしているのかを管理職が知ることは、適切な業務管理につながりますし、もし、困っていることがあるなら、周囲のサポート体制も構築することができます。また、教員側からしても、タイムマネジメント力の向上につながります

 結局は、全国の公立学校の教員に時間外勤務手当を支給する財源などないため、教員を「高度専門職」という、いかにも立派な職業であるかのように持ち上げ、現在の制度を維持しようとしているのだと思います

「教職調整額を10%以上に増額」は自民党案と同じ

 また、先の部会から議題に上がっていた給特法及び教職調整額については、増額を求める声が相次ぎ、「10%以上にすべき」という意見もあったとのことです。

 「以上」としていますが、現実的には「10%きっかり」でしょう。この数字は、昨年5月に自民党の特命委員会が出したものと全く同じです(詳しくは以前の記事を参照にしてください)。つまり、政治的決定以外のものは何もないということです。

結局、結論ありきの議論?

 給特法の議論が始まったときは、廃止も含めて検討していただけるものかと淡い期待もしたのですが、結局、上にも述べたように、昨年5月に自民党の特命委員会が出した案と同じということになりそうです。つまり、結論が最初から決まっていた議論だったということです。政治力学から言えば、それは当たり前のことかもしれません。教員を「高度専門職」という響きだけ立派な印象を与え、給与の増額は微々たるもの…(ちなみに僕は、教員は「専門職」ではあると思いますが、「高度専門職」とは呼べないと思います。詳しくは以前の記事を参照にしてください) 自民党ではなく、教育を所管する部署が決めたという体をつくるため、約一年もかけて無駄な議論が行われたということになると思います。

 我々教員にできることは、「文科省が…」とか「県が…」と上のことを言うのではなく、給与に見合うよう、自ら余計な業務をスクラップしていくしかないと思います。

 本ブログでも今後、全国の働き方改革の事例を紹介していきます。

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