第5期教育振興基本計画の諮問内容とは?

教育政策

 先日(令和8年(2026年)8月21日)、文部科学大臣が中央教育審議会に第5期教育振興基本計画の策定について諮問しました。

 そこで今回は、令和10年度(2028年度)から取り組まれる予定の第5期教育振興基本計画の諮問内容について書きたいと思います。

 本記事を読めば、第5期教育振興基本計画策定に向けた諮問の概要と今後の我が国の教育政策の方向性がわかると思います。

 結論を先に言えば、生成AI時代を迎える中で、人間力の育成の在り方などを検討する方向性です。

 以下、詳しく見ていきます。

教育振興基本計画とは?

 まず、「教育振興基本計画」とは何かを書きます。

 「教育振興基本計画」とは、教育基本法第17条1項で策定及び公表が定められているものであり、教育の振興に関する総合的な施策のことです。

 なお、ここで言う「教育」は学校教育のみならず、社会教育や生涯教育などを含みます。我々教員は「教育」と聞くと、全て学校教育だと思ってしまいがちな部分もありますが、学校を含め、社会全体で担う「教育」があるのを忘れてはいけません。そのような視点に立つと、子どもとの向き合い方や仕事への姿勢も変わってくる部分があります。

 さて、話が少し逸れました。ちなみに、教育基本法第17条2項には、国の教育振興基本計画をもとに、各自治体が教育振興基本計画を定めることの努力義務が書かれています。そのため、全国各地の自治体で、その地域独自の教育振興基本計画が定められているところも多いかと思います。興味のある方はお住まいの地域の教育振興基本計画をご覧になると良いと思います。

第4期の成果

 冒頭に、第5期の教育振興基本計画は令和10年度(2028年度)からと書きましたが、現在取り組まれている第4期(令和5年度〜令和9年度)の成果を国がどのように捉えているかをまず紹介します。

 学校や教員に関するものとして、例えば以下の項目を挙げています。

①学校における働き方改革

②義務教育段階の35人学級を含む学校の指導・運営体制の充実

③教師の処遇改善

 ①の「学校の働き方改革」なんて進んでないと思われる方もいるかもしれませんが、国が全国全ての学校・教員に影響を与える改革はあまりありません。なぜなら、学校の教育活動というのは地域や学校によりかなり異なる部分が多いからです。②や③のようなことは国が一律でできますが、学校の仕事のの改革や負担軽減を図るには個人的には校長次第かと思います。

 また、家庭の負担軽減に関するものとして、例えば以下の項目を挙げています。

①幼児教育・保育の無償化

②学校給食費の抜本的な負担軽減

③高等学校等就学支援金制度の拡充

 こういった施策は、保護者にとって大変ありがたいものですよね。ただ、③は私立高校への進学がしやすいものになりましたので、いわゆる「公立離れ」が今後加速していくと言われています。まだ始まったばかりの施策ですので何とも言えませんが、今後の公立・私立別の入学者数の推移等も見ていく必要があるかと思っています。

諮問の背景

 さて、ではここから本題に入っていきます。

 今回、第5期教育振興基本計画を諮問するにあたり、文科省は現在の我が国及び世界の状況を以下のように捉えています。

①生成AI等の技術革新の急速な進展

②予測を上回る人口減少・少子高齢化の進行

③社会・産業構造の変容

④社会や教育現場の多様化

⑤国際情勢の不安定化

 いずれも、昨今よく聞くテーマですよね。こういった社会状況であることから、変動性や不確実性も含め、これまで以上に流動性が高まっているとし、「これからの我が国を担う子供たちは、激しい変化が止まることのない時代を生きることとなる」としています。そして、「AI時代を迎える中で、2040年以降の社会を捉え直し、教育施策を総合的に検討」するとしています。

諮問を受けて検討される内容

 そこで、今後どんなことが審議されることになるのかを学校教育に関することをいくつか紹介します。

 ①に関するものとして、例えば以下のことを挙げています。

AI等を適切に活用するリテラシー、自ら問いを立てて学びを深める力を育むとともに、好奇心や意欲・志、粘り強さなど人が人としての価値を発揮するための基盤となる人間力の育成

 生成AIを利用しつつも、生成AIに頼るばかりでなく、人間が本来持っている力を伸ばしていこうとするものです。

 また、④に関するものとして、例えば以下のことを挙げています。

教職の魅力を向上し、質の高い教職員を確保し続けるなどの環境整備

 人口減少及び生産年齢人口の減少が進む中で、かつて入職が難しかった教師という職も、志す学生が減っています。教師という仕事は生成AIが発達しても必要な職業ですので、魅力向上に力を注いでほしいと思っています。

他者との対話を通じた合意形成や、失敗や対立・ジレンマ等を乗り越える経験を通じて民主的かつ公正な社会を築くための教育の在り方も重要

 こういう力をつけていくことはとても大事だと思っています。現行の学習指導要領の公民的分野の中に「対立と合意」に関する単元があるのですが、僕自身、この単元はとても好きで、生徒たちにしっかり考えさせることを念頭に授業をしています。各教科の知識も大事ですが、人間社会を生き抜いていく力を養っていくことも大事ですね。

 このようなことも含め、今後の教育政策に関する基本的な方向性などを諮問しています。全て書くと長くなりますので、その他の内容について興味のある方は本記事末尾のリンク先のページをご覧ください。

まとめ

 いかがだったでしょうか。

 第5期教育振興基本計画策定に向けて国は、生成AI時代を迎える中で人間力の育成の在り方などを検討する方向性です。

 より詳しく見てみたい方は以下のページの資料をご覧ください(資料1-1と1-2を参考にしています)。

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