先日(令和7年12月15日)、次期学習指導要領の総則・評価に関する特別部会が開かれ、「個に応じた指導」に関して議論がされたようです。
そこで今回は、個に応じた指導は次期学習指導要領にどのように記載されていくのかということについて書きたいと思います。
本記事を読めば、「個に応じた指導」が今後どのような方向性で整理されていくのかがわかると思います。
結論を先に言えば、「個に応じた指導」はこれまでの学習指導に関する蓄積や知見、状況を踏まえ「個に応じた学習過程」へと名称を変更し、一体的にまとめられる方向性です。
以下、詳しく見ていきます。
「個に応じた指導」に関する現状
まずは、「個に応じた指導」の現在地について書きたいと思います。
「個に応じた指導」については、現行学習指導要領の総則にも記載がありますが、授業改善や学習評価に関することと別の節に記載があり、あくまで授業構想の際の補足的なものとして捉えてしまう現状があります。
また、現行学習指導要領の代名詞とも言える「主体的・対話的で深い学び」が進行されていく中で、令和3年(2021年)の中教審答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子どもたちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」が出され、これらを両立させる具体的な実践イメージが湧きにくいという現状もあります。
他方で、コロナ禍をきっかけに当初の予定より早く一人一台端末が実現し、多様な特性等を有する児童生徒に対応可能なデジタル学習基盤は整っています。
これらの状況や考え方、また現場での実践の蓄積や知見が現行学習指導要領に反映されていないことから、「個に応じた指導」に関することを分かりやすく整理して総則に位置づける必要があるとしています。
「個に応じた指導」の整理の方向性
この現状と、次期学習指導要領策定に関するこれまでの議論を踏まえ、「教師の個に応じた指導に関すること」、「児童生徒の学習の自己調整に関すること」、「デジタル学習基盤の活用に関すること」を一体的にまとめて記載し、これら3つは相互に関連していることを分かりやすくするとのことです。
なお、当初は項目の名称を「児童生徒が主体的に学ぶことができる学習環境の構築について」としていたようですが、この名称だと「「主体的・対話的で深い学び」の一部分だけ切り取っているように見える」、「「学習環境」だけだと教師の指導が見えにくい」などの指摘があがったため、「「主体的・対話的で深い学び」を実現するための学習過程は必ずしも一様ではない」という趣旨を学校現場にも伝えやすくするため「個に応じた学習過程の充実」に変更したようです。
次期学習指導要領での記載内容(案)
以上を踏まえ、「個に応じた学習過程の充実」は現段階で、総則において以下のように記載するとしています(今後の議論の中で引き続き検討されるとのことです)。

(出典:文部科学省HP)
現行の学習指導要領で「第3」と「第4」に分かれて記載されている授業改善に関することと、個に応じた指導に関することを「第3」の中にまとめて記載し、デジタル学習基盤の活用に関することも記載しています。また、これまでの議論の流れから、総則本体の記述を可能な限りスリムにするとしていますので、具体的な留意事項等は解説で記載することとしています。
なお、「児童生徒の学習の自己調整」については、近年浸透が進んできていますので、今後の別の記事で書きたいと思っています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
「個に応じた指導」はこれまでの学習指導に関する蓄積や知見、状況を踏まえ「個に応じた学習過程」へと名称を変更し、一体的にまとめられる方向性です
より詳しく見てみたい方は以下のページをご覧ください(資料1-1を参考にしています)


