先日(令和7年10月27日)、公立中学校の部活動の地域展開等に関する有識者会議が開かれ、中学校部活動の地域展開等に関するガイドラインの骨子の案が示されました。
そこで今回は、当ガイドライン骨子(案)の中から話題となりそうな部分について書きたいと思います。
本記事を読めば、公立中学校の今後の部活動改革の内容がわかると思います。
結論を先に言えば、公立中学校の部活動の地域展開は今後、認定地域クラブ制度を導入したり、指導者に小学校教員なども対象としたりする方向です。
以下、詳しく見ていきます。
なお、中学校部活動の地域展開の大まかな方向性については以下の記事をご覧ください。
ガイドライン骨子(案)の全体について
まず、ガイドライン骨子(案)全体は、以下のようになっています。
Ⅰ部活動改革の基本的な考え方・方向性
Ⅱ 地域クラブ活動の在り方及び認定制度
Ⅲ 地域展開の円滑な推進に当たっての対応
Ⅳ 学校部活動の在り方
Ⅴ 大会・コンクールの在り方
Ⅵ 関連する制度の在り方
誤解されがちですが、Ⅳを見てわかるとおり、公立中学校の部活動がなくなるわけではありません。当初はそのような方向性だったかもしれませんが、現実的に難しいということがわかってきたのでしょう。
上の記事にもあるとおり、名称も「地域移行」から「地域展開」へ変わった(トーンダウンした)ことから、例えば、学校部活動の基本的な体制は変えず、休日専門の指導者に地域人材を一人でも入れれば「地域展開」となるのです。こういう部活動って今でもありますよね。
また、骨子(案)の「取組方針」の中に、平日の活動については「学校部活動をベースとした地域との連携など、地域の実情等に応じた多様な改革を進めていくことが重要」とありますので、学校部活動をベースにしていくことが前提になっています。どのような体制になるかは、各市町村教育委員会事務局の熱意と手腕次第だということが言えます。
認定地域クラブ制度の導入
では、ここから具体的な内容を見ていきましょう。1つ目は新たな制度となる「認定地域クラブ制度」です。
これは、「学校部活動が担ってきた教育的意義を継承・発展させつつ、新たな価値を創出することが重要」という考えのもと導入されるものであり、一定の要件を満たす活動団体に対して、市町村が認定・支援を行う制度です。
活動内容は、野球やサッカーなど一つの種目に取り組むものだけでなく、マルチスポーツやスポーツと文化芸術の融合レクリエーション的な活動も想定しています。このような場があると「やってみようかな」という気持ちになる子供もいると思います。
また、この認定地域クラブであれば、活動において学校施設の優先使用や使用料減免などの措置を受けることができる他、大会やコンクールに参加する場合は交通費・宿泊費の支援などもあるとのことです。
指導体制も、地域人材のみではなく、希望する教職員は兼職兼業の許可を受け、携わることができるとのことですので、個人的には学校部活動を完全になくし、この体制にすれば教員のウェルビーイングを達成できると思います。なぜなら、おそらくどの学校もそうだと思いますが、部活動指導については、したい教員としたくない教員に完全に分かれているからです。
ただ、こうした体制をつくるにはもちろん人事との関わりが出てくるので難しいところがあるでしょう。とは言え、今後ますます、教員の勤務時間の管理について制約が強くなることが予想されるため、人事との連携がなされる可能性はあります。
指導体制について
部活動を学校から極力切り離していくうえで最も難しいのが指導者の確保でしょう。上にも書いたように、学校現場は、部活動に関わりたい教員と関わりたくない教員に分かれていますが、どちらかというと「関わりたくない」または「できることなら関わりたくない」教員の方が多い印象です。また、土日はともかく、平日の夕方に学校等に来ることができる人間はそうそういません。
適切な地域人材もなかなか確保が難しく、このような事情もようやくわかってきたのか、指導者の確保に関する新たな体制案が出てきました。それが以下のものです。
中学校の教師だけでなく、小学校の教師(体育専科教員を含む)、さらには、高等学校・特別支援学校の教師、事務職員など幅広い者が、その希望に応じて、円滑に兼職兼業を行うことが出来る環境を整備することが重要
とにかく、広く人を探すといった観点でしょうか。ただ、まず高等学校の教員は自分の学校の部活動に関わるため、中学生の指導に関わりたい人はいないでしょう。そして、特別支援学校の教員も中学生の指導をしたいという人はほぼいないでしょう。小学校の教員で、ある種目を学生時代、専門的に取り組んできた教員にとっては「やってみようかな」と思う人もいるかもしれませんが、普段小学生の相手をしている人が中学生を指導するのは気が引ける人が多いのではないかと思います。現実的なところでは、中学生の指導にあたってくれる小学校教員は、規模にもよりますが各市町村で数人だと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
公立中学校の部活動の地域展開は今後、認定地域クラブ制度を導入したり、指導者に小学校教員なども対象としたりする方向です。
より詳しく見てみたい方は以下のページをご覧ください。
なお、当ガイドラインはパブリックコメントを経て、12月上旬頃には策定し、公表する予定とのことです。

  
  
  
  

