以前の記事で、次期学習指導要領における情報教育の方向性について書きましたが、今年(令和8年)の夏頃に予定されているとりまとめに向けて、議論もいよいよ大詰めに入ってきました。
次期学習指導要領においては、全ての教科等の中でおそらく、情報教育が現行学習指導要領と比べて最も大きく変更されます。
そこで今回は、令和8年(2026年)6月25日に行われた第11回のワーキンググループの資料をもとに次期学習指導要領の情報教育の授業時数の考え方などを紹介したいと思います。
本記事を読めば、次期学習指導要領における情報教育の授業時数の考え方などがわかると思います。
結論を先に言えば、情報教育の内容を示す一方で、現段階で具体的な授業時数を示すことはせず、教育課程全体の観点から総合的に検討される方向性です。
以下、詳しく見ていきます。
これまで議論の流れ
まずは、これまでの議論の流れをおさらいしておきます。
近年の情報技術の目覚ましい進展ぶりは誰もが知るところであり、我々の生活を大きく変えようとしています。しかしながら、我が国の学校教育における情報教育は、諸外国の後塵を拝している状況にあり、また、小・中・高で体系的な指導ができていないという現状があります。
そこで、次期学習指導要領においては、小学校の「総合的な学習の時間」の中に「情報の領域(仮称)」を設け、体験的な活動をとおして資質・能力を一体的に育成することにし、中学校では「情報・技術科(仮称)」という新たな教科を設け、高校の情報科とともに専門的・体系的に資質・能力を高めていく方向性です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
今回のワーキンググループでは、小・中・高の体系整理を確認しながら、他教科との既存の学習内容との重なりを確認したり、最終的にどの程度の授業時数が必要となるのかの目安などを議論したりしたようです。
各教科等との内容の関連について
次期学習指導要領から情報教育を充実させ、体系的・系統的に情報活用能力を育成することにより、教育課程全体の内容の精選に以下の観点から寄与できるのではないかとしています。
①端末等の活用に関すること
②特定の教科固有の内容に関すること
①は例えば、小学校の国語で取り扱うタイピングや図工で取り扱うペインティングツールの操作を、②は例えば、算数や理科で取り扱うプログラミングを「情報の領域(仮称))で扱うことにより、当該教科の内容が減り、他の内容を新たに取り扱うことや学びの質の向上につながるのではないかとしています。
例を示したものが以下の図です。

(出典:文部科学省HP)
このように教育課程全体から、教科等の垣根を超えて内容の精選をしていただくと大変助かります。僕は中学校社会科の教員ですが、例えば「発電」に関することは理科でも技術でも取り扱うと生徒から聞きます。各教科の特性や視点があるとは言え、可能な限り重複する内容を避けていただくとありがたいです。
新教科・新領域の授業時数について
では、このような新たな内容を踏まえ、授業時数がどのようになるのかについて紹介します。この部分が興味がある方が多いのではないのでしょうか。
まず、以下のような数字が示されています。
新教科・領域の必要性や妥当性を平易かつ分かりやすく説明するため、体系整理において各学年の学習活動のイメージをできる限り小さな単位で整理した結果を基に、試行的に各学年の「・」の学習活動を積み上げてみると、小学校第3学年では28項目程度、第4学年では27項目程度、第5学年では31項目程度、第6学年では30項目程度、中学校第1学年では65項目程度、第2学年では66項目程度、第3学年では32項目程度の学習活動が想定される。これらは、新教科・領域で扱う学習内容のおおよその規模感を把握する際の一つの参考になるものと考えられる。
中学校技術の現在の授業時数からするとかなりの規模感に感じます。ただ、以下のように続きます。
この学習活動イメージは、内容をできる限り小さな単位で示したものであるが、実際の授業においては、一つの「・」を1コマで扱う場合もあれば、学んだ内容を関連付けて活用できるよう複数の「・」を1コマで一体的に扱う場合もある。また、一つの「・」であっても、知識・技能の習得のみならず、それらを活用して考察したりまとめたりする活動まで含めて扱う場合には、2、3コマ程度を要することもあり得る。
「項目」の数イコール1コマの授業数ではないということです。ややこしいですね。最後に以下のように結論づけています。
このように、各「・」の学習活動については、1コマで扱えるものもある一方で、1コマ未満で扱えるものや複数コマを要するものも想定されることから、必要となる授業時数の検討に当たっては、さらに個別具体に精査することが必要である。よって、今回整理した「・」の積み上げは、新教科・領域で扱う学習内容の規模を把握するための参考資料と位置付けた上で、新教科・領域の創設により期待される各教科等の内容の精選の効果等も踏まえながら、教育課程全体の観点から総合的に検討することが適当ではないか。
このワーキンググループで具体的な授業時数を示すことはせず、「教育課程企画特別部会」や「総則・評価特別部会」に検討を委ねるとのことです。
やや拍子抜けな感じがしましたが、他教科との兼ね合いをあるでしょうから妥当な判断なのかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
現在の時点での次期学習指導要領における情報教育は、内容を示す一方で、現段階で具体的な授業時数を示すことはせず、教育課程全体の観点から総合的に検討される方向性です。
より詳しく見てみたい方は以下のページをご覧ください(資料1を参考にしています)。



