令和12年度(2030年度)から実施予定の次期学習指導要領で情報教育が大幅にアップデートされることはこれまでも本ブログで取り上げてきました。
そんな中、令和8年(2026年)7月8日に開かれた中教審の特別部会において、情報教育の拡充を踏まえた標準授業時数の方向性が示されましたので、今回はこれについて書きたいと思います。
本記事を読めば、次期学習指導要領における標準授業時数の方向性がわかると思います。
結論を先に言えば、情報教育に係る授業は増えるものの、他の教科等の授業を減じたり、調整授業時数制度を活用したりしながら、標準総授業時数自体は増やさない方向性です。
以下、詳しく見ていきます。
情報関係の授業時数について
まず、情報教育の拡充を踏まえ、授業時数をどのように考えるかについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
上の記事で示している考え方を踏まえ、小・中学校の情報教育に係る授業時数が示されました。以下のとおりです。
小学校(3・4年)総合(情報の領域)→ 30コマ程度
小学校(5・6年)総合(情報の領域)→ 35コマ程度
中学校(1・2年)情報・技術科 → 70コマ程度
中学校(3年)情報・技術科 → 35コマ程度
僕は中学校の教員ですので、小学校の総合を現在どのように使っているのかわかりませんが、現行の授業時数で考えると、小学校5・6年は全体の授業時数(70コマ)の半分を情報の領域を扱うことになります。これはとても大きな変化ではないでしょうか。
また、中学校も現在は家庭も含めて70コマ、35コマですので倍増する訳です。これもとても大きな変化ですよね。ただ、文科省としては現在の我が国の情報教育はかなり遅れをとっているという認識ですので、このような数を示しているのだと思います。
他教科の授業時数はどうなるのか?
これだけの授業時数を情報教育で使うとなると、その他の教科の授業時数はどうなるのでしょうか。ちなみに文科省は前提として、「年間の標準総授業時数は現在以上に増加させない」としています。
まず、情報教育を拡充することに関して以下のような大きな意義があるとしています。
学習の基盤となる資質・能力である情報活用能力育成の「要」として、新教科・領域で集中的・体系的な育成を図ることにより、いずれの教科等においても、情報活用能力を効果的に発揮した豊かな学びを実現する基盤となり、各教科等が目指す資質・能力の育成に資する。
新教科・領域により、各教科等における端末等の活用方法や、プログラミング、タイピングなどを含め、情報技術等に関連する内容の精選に寄与する。
つまり、情報教育で獲得した知識や技能が他の教科の学習に活用できるとしています。
その上で以下のように示しています。
このような教育課程全体の質の向上に資するという新教科・領域の意義を踏まえると、必要な授業時数を、特定の教科・領域の標準授業時数を減じて確保することは適当ではなく、各教科等の標準授業時数に応じて同一の考え方で減じて確保することが適当ではないか。
この「同一の考え方」というのが、「標準授業時数が35コマ以下の教科等からは減じない」ということです。これらを踏まえ、以下のように結論づけています。
以上を踏まえると、追加で要する時数の確保に向け、小学校3年以上の各教科等の標準授業時数について、現在35コマ以下であるものを除いた教科・領域から、それぞれの既存の授業時数に対して一定の割合で時数を減じることとし、その具体は、新教科・領域で必要となる各学年の追加時数を確保できる水準としてはどうか。
ちなみに、具体的な実数については今後検討し、「適切なタイミングで示す」としています。単純に考えれば、時数が多い教科から減っていくのでしょうけど、どのような数を示してくるのか非常に気になるところです。
標準授業時数の考え方と先行実施について
最後に、標準授業時数の考え方について書きます。
上にも示した、教科の授業時数を減らした場合、「深い学びの実現に多様な児童生徒が取り組むために必要な学習時間を全体として確保できない懸念」があるとしています。
また、「全国学力・学習状況調査の経年比較では学力の低下傾向が見られるとともに、基礎的な概念の理解等に課題が見られる児童生徒も多いという実態もある」としています。
これを踏まえ、以下のような方向性を検討しています。
「統合的な理解・総合的な発揮」に基づいて内容の精選を丁寧に行い、新教科・領域の創設に伴う標準授業時数減への対応や、多様な子供達の深い学びを確かなものにするための余白創出等に取り組む。
調整授業時数制度を活用し、学校判断で授業時数を柔軟に調整し、教師の研究・研修等の深い学びを支える余白創出を可能とする。
これらを前提にした上で、「標準総授業時数は現行を維持してはどうか」としています。
そして、情報教育を拡充するのは、次期学習指導要領が実施される令和12年度(2030年度)では遅いとし、「全面実施を待たずして部分的な指導が可能となるよう、令和10年度(2028年度)以降段階的に新教科・領域を先行実施するための経過措置を講ずる方向で検討すべきではないか」としています。
前倒しで実施できるよう、補正予算を活用しているとのことですが、中学校技術の教員は令和7年度(2025年度)のデータでは、全国で1,864人が臨時免許状又は免許外で授業をしているとのことです。
これを令和10年度(2028年度)にはゼロにするという目標を掲げているのですが、果たしてこの短期間でそんなにうまくいくのかは疑問です。
なお、上に出てきた「統合的な理解・総合的な発揮」については以下の記事をご覧ください。
「調整授業時数制度」については以下の記事をご覧ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
次期学習指導要領においては、情報教育に係る授業は増えるものの、他の教科等の授業を減じたり、調整授業時数制度を活用したりしながら、標準総授業時数自体は増やさない方向性です。
より詳しく見てみたい方は、以下のページをご覧ください。





