次期学習指導要領策定に向け、各教科等で議論が進む中、「特別活動ワーキンググループ」において、キャリア教育の在り方について議論がされたようです。
そこで今回は、次期学習指導要領においてキャリア教育の方向性について書きたいと思います。
本記事を読めば、次期学習指導要領におけるキャリア教育の方向性がわかると思います。
結論を先に言えば、キャリア教育で育成すべき力が整理され、「キャリア・パスポート」は大幅に見直される方向性です。
以下、詳しく見ていきます。
キャリア教育とは
まず、キャリア教育とは何かについて書きます。
キャリア教育とは、平成23年(2011年)の中教審答申で定義等が整理されたもので、その定義は「一人一人の社会的・職業的自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して,キャリア発達を促す教育」とされています。
「社会人・職業人に必要とされる基礎的な能力」と、「学校教育で育成している能力」との接点を踏まえて具体化された「基礎的・汎用的能力」の育成をキャリア教育の基本的方向性として位置付け、以下の4つを学校教育の場で育成することとされています。
①人間関係形成・社会形成能力
②自己理解・自己管理能力
③課題対応能力
④キャリアプランニング能力
これらの力を学校教育の中で身につけるために、現行学習指導要領総則において「特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図る」ことが明示されていますが、個人的には、「キャリア教育」という分野を取り上げて扱う必要はなく、子供たちは家庭や学校生活、地域生活の様々な場面でこのような力を身につけていくと感じています。
僕自身、これまでの教員人生の中でキャリア教育担当をしたことがありますが、その際に感じたことは何も真新しいことではなく、これまでに学校教育の中でしてきたことであり、人権教育等と同様、全ての学校教育の中に根付いている、または含まれているのではないかと思いました(キャリア教育をわかっていないとお叱りを受けるかもしれませんが💦)。
ただ、こうやって「◯◯教育の充実を」と言われると、学校現場は重荷に感じてしまいます。このような◯◯教育は様々な方面から要請があり、縦割りで学校現場に降りてきているのだと思いますが、基本的には外部の人材が担うのが先生たちにとっても、子供たちにとっても良いと思います。教員がプロ意識をもって取り組まなければならないのは、教科教育と道徳のみだと思っています。その他の◯◯教育はどんどん外部委託すれば良いと思っています。
「学びに向かう力・人間性等」との関連
さて、話が少し逸れました。申し訳ありません。
上のような方向性で進められてきたキャリア教育ですが、「育成する力が分かりにくい」や「具体的にどんなことをすれば良いのか」のような意見が現場から出ているとのことです。そこで次期学習指導要領において、整理しようということです。
まずは、「基礎的・汎用的能力」と資質・能力の3つの柱との整理です。以下のような方向性で検討しています。
「基礎的・汎用的能力」の各要素は、「学びに向かう力・人間性等」の新たな整理と重なりが多いこと等を踏まえ、 「学びに向かう力・人間性等」の各要素に基礎的・汎用的能力を照らし合わせて「育む力の要素」を例示することで、各教科等を通じて育む資質・能力と整合させた整理が可能になるとともに、学校現場にとってより分かり易い形で伝えることができるのではないか
ちなみに、「学びに向かう力・人間性等」も次期学習指導要領で再定義される予定です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
そこで例えば、「基礎的・汎用的能力」のうち、①人間関係形成・社会形成能力については、「学びに向かう力・人間性等」の要素の「他者との対話や協働」との親和性が高いことから、キャリア教育を通じて育む力の要素の例を「自己の役割を踏まえた多様な他者との対話・協働」としてはどうかとしています。全体像は以下のとおりです。

(出典:文部科学省HP)
4つの力と4つの要素でわかりやすく整理されていますが、学校現場が欲しいのは「具体性」です。こういった力をつけるために、どのような取組やどのような授業をすれば良いのか明示していただくとさらにありがたいところです。
全体像の再整理
次に、全体像の再整理です。「特別活動を要としつつ」と総則に明示されているのにも関わらず、「総合的な学習(探究)の時間」にキャリア教育を実施しているとの現場での受け止めがあることなどを踏まえ、特別活動の役割を以下のとおりにする方向性です。
各教科・科目等における学習の見通しを立て、学んだことを振り返りながら、新たな学習への意欲につなげたり、将来の生き方を考えたりするキャリア教育の「要」の役割(学級活動、児童会・生徒会活動や学校行事等を通じて実践する役割も担う)
また、総合の役割は以下のとおりとしています。
実社会との関わりの中で、自己の興味・関心に基づく課題を探究することを通じて、キャリア教育を実践
家庭科の役割も例として示されています。
結婚や子育てその他ライフスタイルも含めた生涯設計について、職業選択やワークライフバランス等との関連を図りながら、主体的に考え見通しを持たせる、ライフキャリアに関わる教育を実践
以下が全体像です。

(出典:文部科学省HP)
キャリア・パスポートの見直し
最後に、キャリア・パスポートについてです。
キャリア・パスポートは平成31年(2019年)事務連絡で文科省から示されたものであり、現場にとっては混乱と批判を生んだものと思っています。
そもそも、「キャリア・パスポート」を作成しろと言われる前から、おそらく全国の学校において類似のものは子供たちに作成させていたのではないかと思います。それを「ポートフォリオ形式にするように」や「進学の際に引継ぐように」と言われ、また、現場の実態にそぐわない「例示」もあったことから現場にとってはやりにくいものになっています。そこで以下のような方向性にするとしています。
「例示資料」を廃止し、「見通し・振り返り」に資する現場の実態に合った多様な取組へと進化
デジタル学習基盤を効果的に活用しつつ俯瞰的に振り返るような発展的な取り組みについて解説などで整理
学校の負担感も踏まえ、蓄積や引継ぎについては、クラウド上などでの個人管理で行うことを基本とし、学校間の引継ぎは求めない
学校現場のやりにくさを解消するような方向性となっており、ありがたい限りです。
全体イメージは以下のとおりです。

(出典:文部科学省HP)
まとめ
いかがだったでしょうか。
次期学習指導要領におけるキャリア教育は、育成すべき力が整理され、「キャリア・パスポート」は大幅に見直される方向性です。
より詳しく見てみたい方は以下のページをご覧ください(資料1-1を参考にしています)。



