次期学習指導要領で新たに登場することになっている「高次の資質・能力」をどのように評価するのかということについて、先日(令和8年3月30日)の中教審の特別部会において議論されたようです。
そこで今回は、「高次の資質・能力」をどのように評価するのかということについて書きたいと思います。
本記事を読めば、「高次の資質・能力」の評価の取扱いの方向性についてわかると思います。
結論を先に言えば、「高次の資質・能力」は直接的な評価はせず、単元構想の際の指導・評価の計画を構造的に支える役割となる方向性です。
以下、詳しく見ていきます。
「高次の資質・能力」とは?
まず、「高次の資質・能力」について、簡単におさらいしておきます。
「高次の資質・能力」は次期学習指導要領から登場予定の新しい用語(概念)です。議論が始まった当初は「中核的な概念等」と呼んでいましたが、途中で変更されました。
端的に言うと、「単元(内容のまとまり)や領域をとおして身に付けさせたい知識や考え方」です。現行学習指導要領にも似たような記載がありますが、次期学習指導要領は記載内容を構造化する予定であるため、それにあたりブラッシュアップするものです。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
評価する際の課題
上にリンクを貼った以前の記事をご覧になればわかる部分もあると思いますが、現在のところ、「高次の資質・能力」は教科等によって特性があるため、具体の案に相応の差が見られるとしています。
そこで、「仮に高次の資質・能力の育成状況を一律に、目標準拠評価の対象として直接的に評価しようとした場合には、以下のような課題も考えられるのではないか」としています。
定量的・客観的な評価のために、具体的な学習の文脈や個別の知識・技能の統合的な理解等から切り離され抽象的な概念の暗記を問う課題等による評価が行われる恐れがあり、その場合「高次の資質・能力」を設定した趣旨と逆行してしまう
いわゆる「評価材料集め」をしてしまうと、「高次の資質・能力」の設定趣旨と異なるということです。また、次のような課題もあるとしています。
育成したい資質・能力の本質をシンプルに示すために「高次の資質・能力」においては「何を」、「どの程度」といった到達水準を示していない(個別の内容において示されている)ため、具体的な評価規準の設定が難しい場合が多いと考えられる
これはそのとおりですね。現場はかなり大変なことになることが予想されます。最後にもう一つ挙げています。
個別の内容に基づく評価を行いつつ、高次の資質・能力の評価も行うとなると、同一の内容について二重の評価負担を強いることとなる
こういうことも視野に入れていただいてありがたい限りです。可能な限り、教師の負担軽減をしていただくのも国の役割だと思います。
評価の取扱いの方向性
こうした課題を踏まえ、まず、諸外国の例を参考にしています。
「Big ideas」「核心概念」といったメタ水準での資質・能力をカリキュラム基準に位置づけている諸外国でも、それらを直接の評価対象としては扱わず、目標や内容の本質を示し、指導を方向付ける枠組みとして整理されている例が多い
「高次の資質・能力」を設定するにあたり、当初、カナダや韓国の事例を参考にしていました。そうした国でも評価対象としていないとのことです。また、次のような視点は必要とのことです。
教師が「高次の資質・能力」を活用して単元を構想し、「深い学び」の実現に資する学習過程や評価課題を丁寧にデザインしていくことは極めて重要である
我々教師が単元構想をするにあたり、「高次の資質・能力」を意識・活用することはとても大事ということです。以上を踏まえ、以下のような方向性で取扱うとしています。
以上を総合的に勘案すると、当面は「高次の資質・能力」の育成状況自体について一律に直接的な評価を行うことは求めず、「高次の資質・能力」は各学校における単元構想を含む指導・評価の計画や実施の質を構造的に支える役割を果たすものとして整理してはどうか
「高次の資質・能力」を児童生徒が獲得できているかの評価はしないということです。これは個人的に当然だと思います。
仮に、「高次の資質・能力」を評価するとなると、おそらくほとんどの教科で記述や口頭による解答を児童生徒に求めなければならなくなると思います。そうなった場合、現在の学校環境(人や場所、システム等)ではできないと思います。今後もこのような方向性で進めていただくことを願います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
次期学習指導要領で登場予定の「高次の資質・能力」は直接的な評価はせず、単元構想の際の指導・評価の計画を構造的に支える役割となる方向性です。
より詳しく見てみたい方は以下のページをご覧ください(資料1-1を参考にしています)。




