次期学習指導要領(令和12年度から小学校で全面実施予定)から導入予定の「調整授業時数制度」について、本ブログで以前紹介しましたが、令和8年(2026年)7月8日に開かれた中教審の会議資料によれば、その内容が固まりつつあるので今回はこれについて書きたいと思います。
本記事を読めば、「調整授業時数制度」で調整できる授業時数の上限などについてわかると思います。
結論を先に言えば、「裁量的な時間」の「研究・研修等枠」が最大35コマ、「裁量的な時間」全体で最大70コマ、各教科等の標準授業時数を下回ってよいのは小学校で最大138コマ、中学校で最大128コマ(15%程度)が上限となる見込みです。
以下、詳しく見ていきます。
調整授業時数制度とは?
まずは、「調整授業時数制度」について簡単におさらいしておきましょう。
「調整授業時数制度」とは簡単に言えば、学校の実情を踏まえ、柔軟に教育課程を編成することです。現行の学習指導要領では、一単位時間の授業は小学校で45分、中学校で50分となっており、また、授業時数で言えば、中学校社会科(自分の専門教科で申し訳ないですが💦)の時数は1・2年次が年間105時間、3年次が年間140時間となっていますが、これを各学校で柔軟に調整できるという制度です。
これまでの議論では、ある教科の調整した(減らした)授業数を以下のような時間に充てることができるというところまで進んでいました。
①既存の教科等に上乗せ
②教科の新設
③裁量的な時間(学習枠)
④裁量的な時間(研究・研修枠)
これらの時間の上限をどのように設定するかの議論が、令和8年(2026年)7月8日に開かれた中教審の特別部会でされたようです。今回はこの会議資料を引用して書きます。
なお、「調整授業時数制度」の詳しい内容については以下の記事をご覧ください。
研究・研修等枠の上限
まず、「裁量的な時間」の「研究・研修等枠」です。これは、現在、各学校で行っている校内研修を授業時数としてカウントできる、とても画期的なものです。
「研究・研修等枠」を設ける重要性を以下のように説明しています。
「統合的な理解・総合的な発揮」を活用した深い学びの実現に向けた単元構想や、多様な子供達を包摂する柔軟な教育課程編成を各学校で実現できるようにしていくためにも、全ての学校で学期中も含めて組織的な研究・研修等を継続的に実施できる仕組みを整えておくことが極めて重要である。
「統合的な理解・総合的な発揮」については、以下の記事をご覧ください。
この考えを踏まえ、上限を以下のように示しています。
以上を踏まえ、制度創設に当たっては、まず、週1コマ(最大35コマ)程度を研究・研修等枠の上限として設定し、週時程等に計画的に組み込みつつ取り組みを進められるようにした上で、施行状況を踏まえて必要に応じて見直しを図ることとしてはどうか。
これを年度当初に計画すれば、中学校で約10%しか実施していない(令和7年度時点)週28コマ、さらには27コマが可能であるとしています。教務主任や研究主任の手腕が問われますね。
裁量的な時間全体の上限
次に、「研究・研修等枠」と「学習枠」を合わせた「裁量的な時間」全体の上限です。
これについては、「制度創設当初から過大な時数が充てられることは望ましくないとの方向性」が確認されており、現在先行して試行している自治体・学校の例を参考にし、上限を以下のように示しています。
研究・研修等枠を上限まで活用して取り組んでもなお、学習枠に計画的に取り組めるよう上限を設定すべきと考えられることから、制度創設に当たっては、裁量的な時間全体として週当たり2コマ(最大70コマ)程度を上限として設定し、施行状況を踏まえて必要に応じて見直しを図ることとしてはどうか。
つまり、一週間の時間割のうち、研究・研修関連で1コマ、通常の授業以外で1コマとることができるということになります。これも実施するなら、教務主任及び研究主任の腕の見せ所になります。
生み出せる調整授業時数の上限
さらに、これに加え、調整授業時数制度により生み出せる調整授業時数の上限、つまり各教科等の標準授業時数を下回ることが可能な幅を設定しています。
これまでの議論では、週35コマの教科等以外は10%以上で検討することとしていましたが、現在、先行して柔軟な教育課程の研究に取り組んでいる学校の調整授業時数の総量は、平均すると小学校で124コマ(約14%)、中学校で126コマ(約15%)らしいです。
こうした実態を踏まえ、仮に15%とした場合、裁量的な時間に最大70コマを充てた上でもなお、小学校で最大68コマ程度、中学校で最大57コマを教科等の上乗せや新教科の創設に当てることが可能となり、年間を通じて週当たり1~2コマを計画的に実施することが可能となるようです。
以上を踏まえ、上限を以下のように示しています。
標準を下回ってよい上限については、最大限大きくとった場合で対象教科の15%程度(小:138コマ程度、中:128コマ程度)を想定することとしつつ、今後も先行事例の実践の蓄積を踏まえて、適切なタイミングで具体の数字を決定することとしてはどうか。
そして、これまでの流れを図で表したものが以下のものです。

(出典:文部科学省HP)
まとめ
いかがだったでしょうか。
次期学習指導要領における調整授業時数の上限は、「裁量的な時間」の「研究・研修等枠」が最大35コマ、「裁量的な時間」全体で最大70コマ、各教科等の標準授業時数を下回ってよいのは小学校で最大138コマ、中学校で最大128コマ(15%程度)となる見込みです。
なお、調整授業時数制度については、今後も更に先行研究校の知見を蓄積し、令和12年度(2030年度)からの全面実施を待たずに、令和10年度(2028年度)から同様の取組ができる方向で検討するとのことです。
より詳しく見てみたい方は以下のページをご覧ください(資料1を参考にしています)。





