次期学習指導要領に関する議論も大詰めに入りつつある中、先日(令和8年(2026年)8月4日)に開かれた中教審の特別部会において、これまで約1年にわたって議論してきた各教科等のワーキンググループの取りまとめ案が公表されました。
そこで今回は、この取りまとめ案の中から5教科(国語・社会・数学(算数)・理科・英語)の改善の方向性について書きたいと思います。
本記事を読めば、次期学習指導要領の5教科の改善の方向性についてわかると思います。
ただ、前もってお伝えしておきたいのが、僕自身は中学校社会科の教員であるため、社会科以外の教科については詳しくわかりません。そのため、ポイントがずれているものもあるかもしれません。これについてはご容赦いただくとともに、より詳しい内容を知りたい方は掲載資料を詳しくご覧いただくか、本記事末尾のリンク先のページをご覧ください。
では、各教科の内容を見ていきます。
国語科の改善の方向性
まずは国語科です。
国語科においては、「PISA調査では日本の15歳の生徒の読解力は世界トップクラス」である一方、「自分の思いや考えを表現することや、目的や場面に応じたコミュニケーション等」に課題があるとしています。
また、生成AIが発展する中で、「他者と協働して考えを深める力など、人間ならではの力の育成が必要」としています。
そこで、例えば、以下のことを改善するとしています。
小・中・高を通じた内容の関連性・系統性の整理等
これについては具体的に「①思考力、判断力、表現力等の整理」と「②知識及び技能の整理」を示しており、①については以下のようにするとしています。
児童生徒が複数の単元の学習で出合う様々な話や文章を、社会的な文脈の中でどのような機能を果たしているかという観点から捉え、それぞれの機能に応じて思考・判断・表現することができるようにするために、「話や文章の機能」を軸に資質・能力を整理
「話や文章の機能」については、以下に一部抜粋したものがありますので、詳しくは以下の資料をご覧ください。また、②やその他の改善の方向性についても記載がありますのでご覧ください。

(出典:文部科学省HP)
社会科の改善の方向性
次に社会科です。
社会科においては、これまでの取組の成果が出ており、「社会科等の学習が「役に立つ」等と答える児童生徒の割合が改善」されてきているとのことです。
しかしながら、依然として「断片的な知識の習得中心の授業が行われている実態」もあったり、「教科書の分量等が多すぎる」との指摘もあるそうです。これは経験上、確かにそう思います。
こうした実態から、「課題を追究・解決する学習を重視」などとしていますが、これについては資料の中にもありますが、高校入試等との調整も図っていただきたいと思います。
社会科の改善については、メディアでも報じられましたが、以下の点が注目すべきことかと思います。
教科書等について、用語の精選を促進
具体的には、「「統合的な理解・総合的な発揮」を踏まえた用語の精選」、「課題(問い)を解決するために必要な用語の精選」としています。また、但し書きとして、「入試改善も併せて検討」とありますので、知識を問う問題が中心の入試から、課題解決型の入試問題にシフトしていくのだと思います。
ただ、そうなるとおそらく解答が記述になりますし、採点の公平性等も問われます。そのときは、生成AIが活躍してくれるのでしょうか。
いかんせん、社会科というのは、「断片的な知識」が「線」や「面」とならなければ、「生きた知識」になりません。自分の授業にも反省はありますが💦、ゴール(入試)が変われば、生徒や保護者の考え方も変わりますので、入試改善と授業改善は同時並行で進めていただきたいものです。
以下が、社会科の取りまとめ案の概要です。

(出典:文部科学省HP)
なお、「統合的な理解」・「総合的な発揮」については、以下の記事をご覧ください。
算数・数学科の改善の方向性
次に算数・数学科です。
算数・数学科は、「日本の児童生徒の数学的リテラシーは世界トップクラス」である一方、算数・数学科が「楽しい」「社会で役に立つ」「数学を使う職業につきたい」と回答する割合は低いという課題があるとのことです。また、算数・数学科は系統性が強く、学習困難な事項が雪だるま式に増加していく傾向も指摘」されているとのことです。
これは確かにそのとおりだと思います。5教科の中で数学、それに英語は一度つまづくと、途中からの巻き返しがかなり難しく、中学生期になると「数学嫌い」と「英語嫌い」の割合はかなり高い印象を受けます。
そこで例えば、以下のような改善の方向性を示しています。
小・中・高における目標・分野等の接続強化
具体的には、「指導の一貫性・系統性・連続性を一層確保する観点から、小・中・高で教科の目標を統一」をしたり、「小・中・高(必履修)の学習内容を共通する6つの「分野」(数と式、図形、変化と関係、データと確からしさ、論証、社会を読み解く数学)で統一的に整理」したりするとのことです。
また、中・高では、数学の教育課程全体の見取り図や数学と社会・職業とのつながり等を学ぶ「数学ガイダンス」を新設するとのことです。
以下、上述の内容も含め、算数・数学科の取りまとめ案の概要です。

(出典:文部科学省HP)
理科の改善の方向性
次に理科です。
理科は、算数・数学科と似ていますが、「科学的リテラシーは世界トップクラス」である一方、「理科が「楽しい」、「社会に役立つ」、「理科を使う職業に就きたい」と回答する児童生徒の割合は低い」とのことです。
そこで、例えば以下のような改善の方向性を示しています。
小・中・高における目標・分野等の接続強化
具体的には、「学校段階間のつながりや学問的系統性を明確化する観点から、小・中・高の学習内容を4つの分野(物理・化学・生物・地学)で統一的に整理」したりするとのことです。また、「小学校における分野横断的学習の重視」したり、「中・高における「科学ガイダンス」の新設」したりするとのことです。算数・数学科と似ていますね。
以下、理科の取りまとめ案の概要です。

(出典:文部科学省HP)
英語(外国語)科の改善の方向性
最後に、英語(外国語)科です。
英語(外国語)科は「活動を中心とした指導の必要性が浸透し、一定の英語力を有する生徒の割合が増加」した一方で、「教科書における語彙のばらつき、中学校の内容の高度化、段階的な指導・校種間の接続」などが課題であるとしています。そして、AI時代を踏まえ、「外国語を学ぶ本質的意義を再定義する必要」があるとしています。
これは本当にそう感じます。近年、生成AIの発達により、自分が伝えたいことは自動で翻訳してくれます。そのため、「英語なんて学ばなくていいんじゃない?」と言っている生徒もいます。
そこで、「言葉、文化、コミュニケーションへの深い理解を育むこと」と「自分の考えが磨かれて思考が深まるとともに、人間関係が豊かになること」を柱に要素を整理することとし、以下のようなことも改善するとしています。
内容の精選と基盤語彙リストの作成
これも社会科同様、メディアでも報じられましたが、「指導すべき語彙数の精選も含めて、国が基盤語彙リストを整備」するとのことです。こういうのがあると、教科書会社もありがたいですよね。また、日本の英語教育はよく、「文法中心だから、外国人との会話ができない」と言われますが、会話において重要なのは文法よりも単語ですよね。そのため、単語をしっかり覚えるというのは基礎を培う意味でも、コミュニケーションをとる意味でも重要だと思います。
以下、英語(外国語)科の取りまとめ案の概要です。

(出典:文部科学省HP)
まとめ
いかがだったでしょうか。
次期学習指導要領における、主要5教科の改善の方向性について書きましたが、冒頭にも記しましたとおり、自分の専門教科以外はポイントがずれているものもあると思います。
より詳しくお知りになりたい方は、本文中に貼りました「概要」の資料を詳しくご覧いただくか、以下のページの各教科の取りまとめ案をご覧ください。ちなみに、取りまとめ案は5教科以外もあります。



