次期学習指導要領に関する議論もいよいよ佳境に入りつつある中、令和8年(2026年)7月22日に開かれた中教審の特別部会において、「総則・評価特別部会取りまとめ(案)」が示されました。これは、昨年(令和7年)9月に示された「論点整理」以後、議論されてきた内容を取りまとめたもので、今後、これが各教科等の取りまとめと併せて「審議まとめ」となり、最終的に「答申」になると思います。
そこで今回は、この「総則・評価特別部会取りまとめ(案)」の中から、次期学習指導要領の鍵となる「統合的な理解」・「総合的な発揮」を紹介したいと思います。この概念は全ての校種及び教科で共通するものですので、全ての先生方に役立つ情報になると思います。
本記事を読めば、次期学習指導要領から登場する「統合的な理解」・「総合的な発揮」についてわかると思います。
結論を先に言えば、「(知識・理解の)統合的な発揮」とは、「個別の知識や技能が相互に関連付けられて一般化され、統合的な理解となった状態」であり、「(思考力・判断力・表現力等の)総合的な発揮とは、「複雑な課題の解決に向けて、個別の思考力、判断力、表現力等を組み合わせたり選んだりして総合的に働かせた状態」のことです。
以下、詳しく見ていきます。
これまでの経緯
まず最初に全体像から見ていきます。
次期学習指導要領の基本的な考え方の一つに「「主体的・対話的で深い学び」の実装」があります。「主体的・対話的で深い学び」については、現行学習指導要領から導入されている考え方ですので周知のとおりですが、次期学習指導要領においては一層の具現化・深化と図るとしています。
その手段の一つとして、学習指導要領の記載は、これまでどおり活字だけのものでなく、現場の先生方にもイメージをつかみやすくするため、各教科等の「中核的な概念」等をもとに表形式で構造化を図ろうとしています。「中核的な概念」とは何かについては以下の記事をご覧ください。
この「中核的な概念」をもとに整理されていくはずでしたが、議論の途中で「中核的な概念」から「高次の資質・能力」に名称が変わりました。これについては以下の記事をご覧ください。
しかしながら、今回の取りまとめにおいて「高次の資質・能力」という名称も姿を消し、「統合的な理解」・「総合的な発揮」のみの記載となりました。
理由は「高次の資質・能力」という呼称だと、「学校現場には単に「レベルの高い高度な資質・能力」として受け取られる等の誤解を招く懸念もある」とのことです。
確かに、言葉だけ聞けばそう思いますが、「統合的な理解」・「総合的な発揮」も似たような言葉が並んでいるためわかりにくいと思います。おこがましいですが、文部科学省の方々、この概念はとても重要だと思いますので、再考していただけるとありがたいです。例えば、2つまとめて、「コア・コンピテンシー」とか「キー・コンピテンシー」とかにするとシンプルでわかりやすいと思います。
「統合的な理解」・「総合的な発揮」とは?
では、ここから本題に入っていきます。
国は、先生方が資質・能力の関係性を理解し、それらを一体的に育成する単元づくりをしやすくするとともに、「深い学び」を授業で具現化しやすくするため、「知識及び技能」・「思考力・判断力・表現力等」の「深まりの可視」及び「一体的育成の可視化」を示しています。
そして、「知識及び技能」が深まり、「個別の知識や技能が相互に関連付けられて一般化され、統合的な理解となった状態」を「(知識・技能の)統合的な理解」としています。
また、「思考力・判断力・表現力等」が深まり、「複雑な課題の解決に向けて、個別の思考力、判断力、表現力等を組み合わせたり選んだりして総合的に働かせた状態」を「(思考力・判断力・表現力等の)総合的な発揮」としています。
具体的なイメージについては、以下の図をご覧ください。

(出典:文部科学省HP)
わかりやすく言うと、ある一定のまとまり(単元)の学習をとおして獲得する知識や思考の仕方のようなものです。
各教科等の具体的なイメージ
では、ここから、各教科の「統合的な理解」・「総合的な発揮」の具体的なイメージを紹介します。上の図に、中学校数学の例が記載されていますが、下の図に一部の教科等が示されています。かなり見にくい図ですので(💦)、拡大してご覧ください。

(出典:文部科学省HP)
僕は中学校社会科の教員ですが、社会のところを見ると、見たことあるような文言が並んでいます。つまり、現行学習指導要領にも記載があるようなことを改めて整理しているのだと思います。これは大変な作業だと思いますが、現場の人間が単元ごとのイメージを持ちやすくするために、わかりやすく、できるだけシンプルなものを作っていただきたいものです。
ちなみに、この図の背景が色分けされていますが、これは学習指導要領に記載する際のパターンを示しています。社会や理科、家庭などは、「知識・技能」の内容の系統性が明確で、「知識・技能」の内容のまとまりに対応した固有の「思考・判断・表現」 が想定できるとして、「並列パターン」の記載になるとのことです。イメージは以下のようなものです。

(出典:文部科学省HP)
一方、国語や外国語、音楽などは「知識・技能」よりも「思考・判断・表現」の系統性が明確で、「知識・技能」の内容のまとまりに対応した固有の「思考・判断・表現」 が想定しにくいとのことから「並行パターン」で記載するとこのことです。イメージは以下のようなものです。

(出典:文部科学省HP)
単元・授業づくりに活かすプロセス
最後に、「統合的な理解」・「総合的な発揮」を活かした単元づくり・授業づくりのプロセスについて紹介します。これに関しては以下の図をご覧いただくとわかりやすいかと思います。

(出典:文部科学省HP)
基本的な流れは、学習指導要領で「統合的な理解」と「総合的な発揮」を確認し、単元全体の授業の内容やコマ数、児童の学習活動、評価計画などを考えていくという手順です。
なお、これはあくまでもイメージであるため、「このイメージはあくまでも参考の一つとして示し、現場の実践を過度に縛るものにならないよう留意が必要。実践者が子供の実態を踏まえて、多様で豊かな単元・授業づくりを行う際の足掛かりの一つと位置づけるべき」としています。例えば、初任者が全ての単元でこれをするようにという指導を受けたら大変ですよね。参考にさせていただきたいと思います。
上のイメージは小学校の算数ですが、中学校の外国語についても以前の資料で記事を作っていますので、参考にされたい方は以下の記事をご覧ください。
ちなみに、次期学習指導要領はデジタル化される予定です。これについては、以下の記事をご覧ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
次期学習指導要領から登場する「(知識・理解の)統合的な発揮」とは、「個別の知識や技能が相互に関連付けられて一般化され、統合的な理解となった状態」であり、「(思考力・判断力・表現力等の)総合的な発揮とは、「複雑な課題の解決に向けて、個別の思考力、判断力、表現力等を組み合わせたり選んだりして総合的に働かせた状態」のことです。
より詳しく見てみたい方は、以下のページをご覧ください(資料1を参考にしています)。






